晴れ、ときどきリリー

晴れ、ときどきリリー “Pieds nus sur les limaces”

監督:ファビアンヌ・ベルトー

出演:ダイアン・クルーガー、リュディヴィーヌ・サニエ、ドゥニ・メノーシェ、
   ブリジット・カティヨン、ジャック・スピエセル、アンヌ・ブノワ、
   ジャン=ピエール・マルタンス、マティアス・メルー、レダ・カテブ

評価:★★




 まず、リュディヴィーヌ・サニエの身体つきに目が行く。子どもにしか見えないからだ。太腿からふくらはぎにかけての肉つき。マニキュアが無造作に塗られた指のぷくぷく。サニエが演じるのは少女の心のまま大人になったリリー。ここに無防備な所作が入ることで、リリーは完成される。外見からの創り込みが成功している。

 知的障害のあるリリーは周囲に迷惑をかける。世話をしてくれていた母が死に、遺された肉親は都会で弁護士として働く姉のクララしかいない。クララは辛抱強くリリーと向き合うものの、苛立ちを隠せない。けれど、リリーの無垢な部分にも触れる。根の純情な部分を見つめる。これが姉妹の絆の再生に繋がっていくのは予想通り。

 クララの変化が安易だ。腹が立つことの多いリリーとの生活。そこにリリーの友人と名乗る怪しい者たちが現れ、自由な心を持った彼らと戯れることで、新しい自分を知る。ここで不可解なのは、クララの夫が悪者にされることだ。それまで最大の理解者だったはずの夫の不寛容が殊更大きく扱われる。気の毒としか言いようがない。

 映像がメルヘンめいている。かなり現実的な問題を取り上げながら、映像が狙っているのは奇妙にオシャレな空気。思わずソフィア・コッポラ映画を思い出す。いつも泥だらけのリリーの姿も、次第に計算に見えてくる。ダイアン・クルーガーとサニエという透明感のある奇麗どころを姉妹に置くところからして、若干の胡散臭さを感じないでもない(クルーガーが美しい。特にツンとした鼻のライン)。

 …というわけで、『晴れ、ときどきリリー』は知的障害者を上手に取り上げているとは思えないのだけど、細部には面白い味がある。第一にリリーが死にとり憑かれているようなフシが見受けられるところ。死んだ動物に関心を寄せるリリーは、ウサギ、モグラ、イタチ、ネコといった生き物の死骸を集め、その一部を取り入れた小物を創る。部屋にはシカを始めとした剥製がずらりと並んでいる。何か儀式めいていて、精霊と繋がっているようにも見えて…。

 リリーの性欲に斬り込んだのも偉い。心は子どもでも身体は大人。当然男を求めることもあるわけで、密かに想いを寄せる近隣の青年に拒絶されたときには涙を見せる。胸が痛む。クララがリリーに対して殺意を見せるのも思い切ったところ。それは浴室で突然現れる。死ねばいいのに。その後の流れが曖昧に描かれているのも、想像力を刺激して上手い。美しくまとめられる問題なんかではないということだ。





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