バレット

バレット “Bullet to the Head”

監督:ウォルター・ヒル

出演:シルヴェスター・スタローン、サン・カン、サラ・シャヒ、
   アドウェール・アキノエ=アグバエ、クリスチャン・スレーター、
   ジェイソン・モモア、ジョン・セダ、ホルト・マッキャラニー、
   ブライアン・ヴァン・ホルト、デイン・ローデス

評価:★★




 美容に興味があるのは女だけだと考えられがちだけれど、もちろん男だって関心がないわけではない。誰だって自分を良く見せたい願望は具えているものだろう。美しくなることにとり憑かれた者は、続いて積極的に金をかけて身体を直しにかかる。美への願望に限りはない。女の場合の美は分かりやすいのだけれど、男だとやや複雑になる。単に美を目指す者もいる。ただ、ある種の男は「マッチョな俺」にこだわる。全身筋肉の俺はカッコイイ。その代表こそ、シルヴェスター・スタローンだ。

 『バレット』のスタローンを見て、いよいよ危険水域に突入したことに慄く人は多いだろう。マッチョを目指したはいいけれど、ほとんど人造人間的なそれになってしまったからだ。スタローン66歳、同年代の俳優と較べたら、二の腕を中心に筋肉の不自然な盛り上がりは一目瞭然。柔らかさが全くなく、舗装されていない山道のようにデコボコ。そこに血管がミミズのように浮き上がっている。普通の筋力トレーニングでつけた筋肉には見えない。ドーピング疑惑はますます濃くなる。歩くホラーだ。

 困ったことにスタローンは、その筋肉の美を疑っていない。無駄脱ぎという形で見せびらかしにかかるのだ。お直し効果により目周りはつっぱり、目自体はぱっちり、口がやけに可愛らしい。それなのに裸は人造人間。肩から胸・背中にかけては悪趣味なタトゥーが入っている。「マッチョな俺」絶好調。思うにスタローンは、銃なんか持つべきではない。裸で人を殺せる。

 …と長々書いたのは『バレット』が「マッチョな俺」なスタローンありきの作りだからだ。殺し屋役で、一応悪役に挑戦というのが売りになっているものの、それに意味がないことは明らかだ。ウォルター・ヒル監督も、「マッチョな俺」をいかに輝かせるか、それに力点を置いている。

 ヒルと言ったら、男の美学を追求し続けてきた人だけれど、ここではそう、スタローンの前に敗北宣言をしたかのようだ。殺し屋ではあるものの、女子どもは殺さないという、ありきたりで生温い己のルールを掲げるばかりで、特徴らしきものはない。「ストリート・オブ・ファイヤー」(84年)は遠くになりにけり。

 気の毒だったのは、豊原功補と双子説有力なサン・カンだ。バディ映画の形を採り、彼がスタローンの相棒であるはずなのに、完全に引き立て役に終わっている。彼がミスを犯したのを、頭のキレるスタローンが助けるというパターンの繰り返し。…にも関わらず、最後の最後で「助太刀」して、スタローン真っ青。いちばん美味しいところだけ持っていかれるって…。気が利かない!

 敵役を演じるジェイソン・モモアの目つきがやたら悪いのに笑う。モモアはスタローンと違い、筋肉のつき方がしなやか。スタローンとモモアの肉弾戦は、数少ない見せ場だ。「人造人間 vs. 野獣」。話を忘れて、野獣を応援する。演技はどっこいどっこいでも、身体の魅力は野獣の圧勝だ。





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