闘魂先生 Mr.ネバーギブアップ

闘魂先生 Mr.ネバーギブアップ “Here Comes the Boom”

監督:フランク・コラチ

出演:ケヴィン・ジェームズ、サルマ・ハエック、ヘンリー・ウィンクラー、
   グレッグ・ジャーマン、ジョー・ローガン、ゲイリー・ヴァレンタイン、
   シャリース、バス・ルッテン、レジー・リー

評価:★★




 ケヴィン・ジェームズの印象がいつもとは違っていることに、真っ先に気づく。ジェームズを分かりやすく言うなら、「弾力デブ俳優」といったところだろうか。小太り体型がグミのような弾力を持っていて、ちょっと物が当たっても、それを漫画のように跳ね返してしまいそうな身体の持ち主。そのジェームズ、いつものようにデブには違いないものの、ここでは若干シャープに見える。弾力性はあまり感じない。いや、それどころか脂肪の下に締まった筋肉が見えるような見えないような…。ジェームズよ、さては役作りに励んだな。

 『闘魂先生 Mr.ネバーギブアップ』で高校の生物教師を演じるジェームズは、総合格闘技に挑戦することになる。映画にはUFCが協力、多数の格闘家がゲスト出演している(日本から一瞬、石井慧が登場)。当然試合場面があり、それを様になるように見せるためには身体作りをしなければならない。ジェームズは呑気で陽気な個性をいつもより抑え込み、真面目顔で役に取り組んでいる。でもまあ、そう簡単に個性というものは消せるものではない。開巻の登校場面のスタイルに笑う。黒いジャケットにジーンズ。サングラスにブーツ。ごついバイクに跨って走る様。格好つけてもファッションをキメても、どこか抜けている。

 ただ、話をシリアスに語るだけなのには違和感あり。笑いはジェームズの佇まいに全て任せて、「決して諦めない心」を掲げて物語を語ることに懸命だ。経費削減により音楽の授業が削られることになり、ジェームズはひょんなことから授業存続のために必要な48,000ドルを格闘技のファイトマネーで稼ぐことになる。浮かび上がるのは教育、移民、経済等が抱える問題…。どれもこれも大切なそれだけれど、ジェームズ映画で真面目顔で語られてもなぁ。

 …なんて思っていたのだけど、ジェームズが、人の好い顔をしたジェームズが、純情を絵に描いたようなジェームズが、いつも平和顔なジェームズが、本気になっているところを眺めているとあら不思議、ちょいと熱いものがこみ上げてくる。「ロッキー」(76年)に通じるなんて言わないけれど、その遠い親戚のような映画と言うぐらいは構わないのではないか。

 作り手もファイトシーンに最も力を入れている。特にクライマックスの試合場面は、どれだけ叩きのめされても必死に立ち上がるジェームズの姿を、カメラワークと編集を駆使して、ダイナミックに撮り上げている。生徒たちの姿を挿入するのはやめて欲しいと冷静になりつつも、それでもジェームズの姿に拳を握る。いやー、まさかジェームズ映画で本気の格闘場面が見られるとは。ジェームズ本人が演じている(ように見える)のが功を奏した。試合後のサルマ・ハエック(渡辺えり化を回避して、美貌が戻る)との金網越しのキス場面に、笑いながら、ついホロリ。

 良くできた映画ではない。生物教師が闘うことになる理由が弱いし、彼が周囲の支持を獲得していく過程も食い足りない。不真面目だったのが突然改心するのも恥ずかしい。ちょっと気が効いていたのは、「細胞」を使って諦めない心を説く件くらいか。つまりバカにするは簡単だ。絵空事でしかないと斬り捨てることも可能だ。ただ、ジェームズや作り手の「本気」にハートがしっかり封じ込められている。実話の過剰な強調にゲンナリすることの多い昨今の映画界だけれど、実話であって欲しいと思ったのは久しぶりだ。ヘタクソでも観る者ときちんと対話できている。





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