ティモシーの小さな奇跡

ティモシーの小さな奇跡 “The Odd Life of Timothy Green”

監督:ピーター・ヘッジス

出演:ジョエル・エドガートン、ジェニファー・ガーナー、CJ・アダムス、
   ロン・リヴィングストン、ダイアン・ウィースト、オデイア・ラッシュ、
   ローズマリー・デウィット、リン=マヌエル・ミランダ、コモン、
   M・エメット・ウォルシュ、ロイス・スミス、
   デヴィッド・モース、ショーレ・アグダシュルー

評価:★★




 ティモシーと名乗るその少年は、「鉛筆の町」で工場と博物館で働くグリーン夫妻の前に現れる。若い夫婦は不妊治療が失敗に終わり、子どもを持つことを諦めたばかりだ。嵐の夜、やって来た少年の足首には不思議なことに緑の葉っぱが何枚も生えていた。その上、全身泥まみれ。それもそのはず、彼は裏庭の畑の下から生を受けたのだ。ゾンビかよ!

 『ティモシーの小さな奇跡』という邦題が分かりやすい。少年を迷いなく自分たちの子どもとして受け入れた夫婦とその周りの人々に小さな幸せが降り注ぐ。死にかけた老人が大笑いする。新しい鉛筆のアイデアが顔を出す。博物館長の頑なな心が柔らかくなる。音楽会やサッカーの試合も盛り上がる。日常生活の中に潜む小さな幸せが大切にされ、皆の顔が笑顔になる。人が笑う、何気ないけれど、何物にも代え難いそれを繋げていくのは、なるほどディズニー映画だ。

 ただ、ここが重要なのだけど、決して笑顔だけでエピソードを切り上げてはいない。笑顔の後には、死だとか不寛容だとか嫌味だとか盗用だとか、マイナスの概念や感情、人間の厭らしいところも見える。生きていく苦味が忘れられていないあたりには、誠実さを感じる。ディズニー特有の真っ直ぐな思いばかりが強調されていないのにホッとする。

 サッカー場面には思わずにんまりする。運動が得意ではないらしいティモシーが太陽の光を浴び、突然の快進撃を始める。両親も思わず大興奮、周囲を巻き込んでティモシーに声援を送る。子が戦えば、親も戦う。親と子はいつでも一緒に戦っているものだ。夫婦を演じるジョエル・エドガートンとジェニファー・ガーナーがムキになる姿が微笑ましい。

 ところが、もっと大きな罠にはあっさりハマる。感傷というやつだ。ティモシーが小さな奇跡を実現していく度、足首に生えた葉っぱが枯れ落ちていく。ティモシーとの別れを暗示する。オー・ヘンリーの「最後の一葉」をパロディにしながら、決して能天気にはならない。だってティモシーを演じるCJ・アダムスはひょろひょろの身体と可愛い顔から健気さを発散し続ける子役だ。この少年との別れが迫っているだなんて、夫婦じゃなくても胸が痛む。

 時間が流れるに連れ、、ティモシーは夫婦との生活に溶け込む。夫婦は親らしくなる。本当の家族が見えてくる。家族の在り方への問い掛けが見える。不妊に悩む人々への配慮をしつつ、けれどどうしても感傷からは逃れられない。物語の根底に「子どもとの暮らしは素晴らしい」「子どもは暮らしを豊かにしてくれる」という窮屈な価値観が見え隠れするのが、それをダメ押しする。





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