ベスト・キッド

ベスト・キッド “The Karate Kid”

監督:ハラルド・ズワルト

出演:ジェイデン・スミス、ジャッキー・チェン、タラジ・P・ヘンソン、
   ハン・ウェンウェン、ワン・ツェンウェイ、ユー・ロングァン

評価:★★★




 何でまた舞台を中国に移したのだろうか。カンフーへの敬意を表しているつもりなのだろうか。その割りに原題が“Karate”のままなのはどうしてだろうか。ハリウッドの外国を見る目なんて所詮そんなもんか。

 オリジナルは言わずと知れた1984年映画で、氾濫する怠惰なリメイク映画の一本かとナメてかかってしまう『ベスト・キッド』なのだけど、これがなかなかどうして、感動映画として丁寧に仕立て上げられているから侮れない。大会に向けてカンフーの技を磨くと同時に、心身共に飛躍を遂げていく少年の成長が過不足なく描かれていく。消えることのない父を亡くした喪失感、素直になれない母との関係、ほろ苦さの混じったロマンス…。全てはクライマックスのカタルシスのための装飾になっている(装飾とは言えチープではない。手際良く整理されている)。はっきり言ってしまうと、かなりベタ。でも、ベタを大変魅力的に魅せているのがお手柄だ。スポーツ映画としても、観光映画としても。

 少年を演じるのがジェイデン・スミスで、これがドンピシャのハマり具合。困ったところもあるけれど、根は優しく、努力家である少年のパーソナリティが、生意気さを隠そうとしても隠せないスミスのそれと奇跡的なマッチングを見せている。身体もとても良く動いている。特に感心するのは柔軟性で、足のフリ上げなどかなりサマになっている。巧いのは序盤にスミスの泣き顔を見せたところ。突っ張っているけれど、まだまだ子ども。だって12歳だもん。ここで大人たちは、思わず少年を見守りたい気分になる。

 しかし、スミス以上に素晴らしいのは、少年を指導する男を演じたジャッキー・チェンだ。最近のチェンはかつてほどアクションにキレがなくなり、その無理矢理なパフォーマンスに寂しさを感じてしまうほどだったのだけれど、今回は少年のサポート役ということもあってか、肩の力を抜いてリラックスしている。過剰に笑いに走っていないこともあって、佇まいに枯れた味わいが滲み出ているのがポイントだ。少年の成長を静かに見守るその眼差しには、思いがけず「演技巧者」などという言葉を思い出してしまうほど(信じ難いけれど)。少年とマスターの関係が次第に父と子のそれに見えてくる過程がシミジミと良いのは、チェンの存在あればこそだろう(本当に信じ難いけれど)。こんなに分をわきまえた演技もできるとは!(本当に本当に信じ難いけれど)。

 ほとんど唯一にして最大の欠点は、ワルたちの描き方だ。カンフーをいじめに使うというところからして気に喰わないのだけれど、大会本番になっても卑劣さを忘れることがないのがトドメを刺す。敵ながらアッパレと思わせるところが一切ないのだ。したがってクライマックスで主人公が負けるわけがなく、その点でサスペンスが目減りしている。バックにさらに性悪の指導者がついているという設定もどうなんだろう。子どもが悪いわけではないと言い訳しているようで気持ちが悪い。それから、序盤に思わせぶりに出てきたアメリカ人(?)の少年がその後一切フォローされないのも気になった。





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