ブルーノのしあわせガイド

ブルーノのしあわせガイド “Scialla!”

監督:フランチェスコ・ブルーニ

出演:ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ、フィリッポ・シッキターノ、
   バルボラ・ボブローヴァ、ヴィニーチョ・マルキオーニ、
   ジュゼッペ・グアリーノ、プリンス・マヌベジヤ、
   アリアンナ・スコンメニャ、ジャコモ・チェッカレッリ

評価:★★★




 主人公のブルーノは元教師で、今はタレントの自伝の執筆(ゴーストライター)と家庭教師(補習塾)により稼いでいる。ある日、ひとりの生徒の母親が彼に告げる。「息子の父親はあなたよ」。そして6カ月、マリに行っている間、彼の面倒を看て欲しいと言う。斯くしてブルーノと彼を父親とは知らない息子ルカ15歳の共同生活が始まる。

 またか…と思う。映画において大変ありふれた設定と物語。ふたりが衝突しながらも、次第に心を通わせていく過程が、「ちょっと良い話」風にまとめられるのだろう。そして案の定、その方向に向かう。平坦で安易、臭い人情話の快感は、自慰行為に似たものに感じられて、どうも気持ちが悪い。

 …なんて構えながら眺めていたのが、あら不思議、次第に心地良く感じられてくるではないか。多分それは、イタリア特有の陽気な空気が理由なのだろう。太陽の照り具合。風の流れ方。空気に含まれる水分。…イタリアのそれらは心を解放に向かわせる。寛容を誘う。問題をちっぽけに見せる。

 原題にある「Scialla!」はイタリアの若者たちが使う言葉らしく、「なんとかなるさ」といった意味だという。この気分を見失わなかったのが最大の功績だ。共同生活の中で小さな事件が起こり、ふたりの関係が微妙に変化していく。その筋を追いかけるよりも、そのときに醸し出される妙に前向きな気分こそが最も大切にされる。なんとかなる。きっとうまくいく。だって明日は晴れるに違いない。根拠のない呑気な自信。イタリアではこれが嫌味に映らない。アメリカやフランスが舞台では、こうは行かないと思う。

 ブルーノの勝手気ままな生活の中で嬉しくなるのは、アパートの雰囲気だ。別に目を見張る豪華な家具があるわけでも、豊かな緑に囲まれているわけでもない。小奇麗でもないし、質素という言葉が似合う。けれどそこには、至るところに書物が置かれている。本棚はびっしり。テーブルにもキッチンにも床にも本が雑然と積まれている。「あぁ、この人はだらしなく生きているのかもしれないけれど、本を、言葉を、文字を愛してきたのだ。だからその細胞は豊かな水で満たされているのだ」…と信じられる空間だ。カッコイイ。

 いつも眠たそうな目をしたブルーノを演じるファブリッツィオ・ベンティヴォリオはもちろん良い。ただ、ここはルカを演じるフィリッポ・シッキターノにより注目する。フードをかぶり、ラップを聴き、不良っぽく振る舞って…ほとんどエミネムに憧れているとしか思えない少年役。勉強は嫌いだし、ふざけてばかりだし、パンツ一丁で動き回るし…所謂問題児。しかし、どうしても純真無垢な部分は隠せない。母親の写真を眺めたり、しっかり門限を守ったり、ジムでストレスを発散したり…というエピソードからも根は真面目なことが分かるけれど、爽やかなボーズ頭と澄んだ目が、よりその純情を輝かせる。悪ぶってもウブ。絶対童貞。ベンティヴォリオもやんちゃなシッキターノを優しく見つめている。『ブルーノのしあわせガイド』の急所だ。15歳には全く見えないけれど…。





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