ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮

ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮 “En kongelig affære”

監督:ニコライ・アーセル

出演:マッツ・ミケルセン、ミケル・ボー・フォルスガード、
   アリシア・ヴィキャンデル、トリーヌ・ディルホム、デヴィッド・デンシック、
   トーマス・ガブリエルソン、サイロン・メルヴィル、
   ベント・マイディング、ハリエット・ウォルター、ローラ・ブロ

評価:★★★




 デンマークでは誰もが知っている史実を基にしているらしい『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』でいきなり面食らうのは、国王クリスチャン七世の人物造形だ。心を病んでいるという設定のようだけれど、英国から呼び寄せた妻を木の陰から覗き見る登場場面から、ほとんど「バカ殿」にしか見えないのだ。無礼で、気まぐれで、政治のことは無関心で、本当にアイーンと一発カマしそう。演じるミケル・ボー・フォルスガードの掴み所のない所作も顔のパーツが全て中央に寄っているのも奇妙奇天烈。頭にこびりつく。

 マッツ・ミケルセン演じる町医者ストルーエンセはまず、この国王の心を掴む。侍医として宮廷に招かれる。この国王に合う医者などいるのかと思うものの、演劇好きの血が共鳴し合い、アッという間に相思相愛。国王と侍医の間に仄かに同性愛めいた匂いが流れるのが可笑しい。侍医は王の心にぐいぐい入り込む。

 侍医はその上、王妃の心も掴む。王に食って掛かる気の強い王妃を、アリシア・ヴィキャンデルが演じていて、ミケルセンとは親子ほどに年齢が離れているのに、抜群のケミストリーを見せる。ラヴシーンにおけるヴィキャンデルの中の「女」が美しく、いやらしい。ミケルセンは余裕の態度で、王妃を虜にしていく。

 そうして遂に、政治が動き始める。啓蒙時代への突入前夜、自由な思想を掲げた侍医が、ほとんど摂政のポジションを獲得し、静かに国を動かしていく。理想と密着した純粋な思想と国王や王妃への忠誠、そして打算が衝突を繰り返す複雑さを、ミケルセンが華麗に操る。一見美しき三角関係、しかし裏側のどろどろしたものを気づかないふりをしているだけ。国王も王妃もお互いよりも、侍医を欲しているがゆえの駆け引きに興奮する。

 ここで面白いのは、侍医と関係を深めていくことにより、国王夫妻が輝いていくところだ。とりわけ国王は、相変わらずの素っ頓狂な言動でありながら、意外や意外、多くの庶民の前に立つ王としての風格のようなものまで身につけていく。侍医の操り人形のように見えて、決してそうではない。人間としての力を上げていく。侍医が策略家というより理想家に見えるのはそのためだ。

 後半、侍医と王妃の間に子どもができるあたりから、順風満帆だった侍医の宮廷生活に少しずつ狂いが生じ始める。メロドラマだ。ただし、薄っぺらな人生が滑稽に映るようなそれではない。国王が侍医を、王妃が侍医を、侍医が夫妻と政治力を強烈に欲しながら堕ちていく感じが、時代の流れに呑み込まれるようにダイナミックに紡がれていく。そこに安っぽさはない。ただし、国王の継母ら仕掛ける側の思いは、愚かしく小さくまとまめられた感。

 王妃が装着するドレスの数々も見入るものの、それよりも目を見張るのは穏やかな撮影だ。室内の色合いもさることながら、ロケーション場面が素晴らしい。自然光を優しく切り取り、豊かな緑の中に溶け込ませている。そこに閉じ込められたいと願いたくなる、不思議な魔力を感じる。





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