陰謀のスプレマシー

陰謀のスプレマシー “The Expatriate”

監督:フィリップ・シュテルツェル

出演:アーロン・エッカート、オルガ・キュリレンコ、リアナ・リベラト、
   アレクサンダー・フェーリング、ニール・ネイピア

評価:★★




 まず思い出したのは、「フォーガットン」(04年)や「フライトプラン」(05年)だ。前者は人生から丸々息子が消え、後者は飛行機の中で息子が蒸発する。ちょっと前まで確かに目の前にあった存在を、自分以外の人間が認めない。もしかして自分がおかしくなったのか。ここではもっととんでもないものが消える。自分が勤めていた会社だ。数時間前まであったオフィスごと消失。上司も同僚もどこ行った!?働かなくて良くなった!とは喜ばない。バカバカしいけれど、映画なのだからこれぐらいの大きなホラでも無問題。

 ムード自体は「ボーン・アイデンティティー」(02年)に通ずるものがある。主な舞台がヨーロッパ、ベルギーのブリュッセルで繰り広げられるし、アクション場面のカットの畳み掛け方もそう。基本的に自分以外信じられないという状況下も、主人公がCIAらしくプロらしい仕事ぶりを見せるのも意識しているところがあるのではないか。

 終幕の展開はもろ「96時間」(08年)だ。愛する娘を誘拐された主人公が怒り沸騰、娘を助けられればそれで良いとばかりに暴走を始める。父親と娘の間に流れる複雑な感情を予想以上に主張するあたりが、物語のくすぐりになっている。結局想い合っているふたりというのも予想通り。

 …というわけで、『陰謀のスプレマシー』は既視感を感じる部分の多い映画だ。ほぼ全編、引用というか拝借というか、他作品で見かけたものにより成り立っている。それを恥じていない。こういうB級アクションならではの開き直りは決して嫌いではないのだけれど、それだけでまとめてしまうのはさすがに芸がないのではないか。イミテーションなりに、これが売りだと掲げられるものが必要なのではないか。街中で無関係の人間を大量に殺して得意気な顔をしている場合ではない。

 主人公を演じるアーロン・エッカートが予想以上にB級の世界にハマっているのが落ち着かない。中年真っ盛りの身体に鞭打って走り回る様が、何ともまあ、似合っていること。このスケールサイズの俳優で終わって欲しくないのに…、限界を見た気がする。エキゾティックな美貌のオルガ・キュリレンコとの絡みがほとんどないのも物足りないところで、彼女の扱いに代表されるように、人物の出し入れが巧くないのは困りものだ。

 ただし、エッカートの娘を演じるリアナ・リベラトはなかなかの存在感を見せる。まん丸の顔が思いがけずニュアンス豊か。エッカートを喰ってしまう場面もひとつやふたつではない。途中足手まといになる展開には舌打ちしてしまうものの、彼女がいなければ画面はもっと単調になっていただろうと想像すると怖ろしくもある。





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