アルティメット・ファイター

アルティメット・ファイター “Fighting”

監督:ディト・モンティエル

出演:チャニング・テイタム、テレンス・ハワード、ルイス・ガスマン、
   ズライ・エナオ、ブライアン・ホワイト、フラコ・ナバハ、
   アンソニー・デサンド、ロジャー・グーンヴァー・スミス

評価:★★★




 『アルティメット・ファイター』はある種のアメリカン・ドリームを描いた映画と言って良いのかもしれない。アラバマからニューヨークに出てきたは良いものの、模造品を路上で売ることで小銭を稼いで生きているホームレスの青年が、格闘技の世界で才能を開花させていく。格闘技と言っても華やかなものではなく、アンダーグラウンドのそれであるところがポイントだ。いくら勝ち進んでも、大々的に世間に認められるようなことはない。

 金を稼ぐために身体を捧げる男たちの死闘が見所であることは言うまでもない。銃だとか爆弾だとかナイフだとか、映画で呆れるほど見せられる武器を持つことなく、己の身ひとつで戦いに挑む男たちは、装飾を剥ぎ取られた魂のようにも見える。とりわけ心優しき主人公はその感が強い。教会やコンビニ、豪邸、レストラン、高層ビルの屋上…試合が行われる場所が毎度違っているのも雰囲気が変わって良い。ストリングスや太鼓、笛といった格闘技には不釣り合いの楽器による音楽が流れるのも面白い。

 負け犬人生だった青年が、思いがけず自分の居場所を見つける。新しい恋にも出会う。けれど問題に直面し、しかし何とかそれを乗り越えようともがく。物語自体に目新しさはないものの、その背景となるニューヨークの風景が魅力的な表情を見せるのに注目だ。とりわけ夜の街が印象に残る。ネオン、街灯等の明るい光も、人々の会話も、タクシーの流れも、路地裏の佇まいも、皆寂しげだ。人は孤独な生き物。最終的にはひとりで生きていくしかないという真実が痛いほどに浮上している。ロサンゼルスではこうは行かない。

 チャニング・テイタムが柄に合った役柄で嬉しい。ファイター役だから当然鍛えられた身体でなければならないのだけど、ハリウッド的に筋肉自慢に走っていない。全体の印象は細い。けれど頼りないわけではなく、服を脱ぎさえすれば、そこには適度な筋肉が乗っかっていて、なるほどこれならば女たちが惹かれるのも頷ける。ひょっとして男でも手本にしたくなる身体ではないか。俺もヤツみたいになりてぇって…。多分、男からも慕われるタイプだ。

 テイタムに新しさを感じるのは、シャツ一丁になったときだ。シャツと言ってもランニングシャツだ。タンクトップではなくランニングシャツ。だって真っ白だし。古臭いマッチョスターが着るとパワー勝負の筋肉バカになってしまうところだけれど、テイタムは爽やかさをキープ。彫刻のように鼻筋の通った顔立ちも手伝って、むしろ画面に爽やかな風を吹かせる。汗をかいても血を流しても臭くない。時折捨てられた子犬のような目を見せるのも面白い。代理人と衝突して家の前で膝を抱える画。想いを寄せる女との数分のデートに喜びを抑えられない画。いずれもテイタムならではだろう。

 クライマックスは因縁の過去を持つライヴァルとの試合だ。当たり前のようにテイタムがランニングを脱ぎ去るのが可笑しい。だってホレ、最後だから女子にサーヴィスしておかないと。突っ込み不足のせいか、過去の問題が期待ほどに詩情をもたらさないのは辛いものの(流れる音楽がありきたりなヒップホップなのもマイナス)、テイタムの真っ直ぐな想いはちゃんと切り取られている。オチも含めて、気分良く見られる。青年の本当のアメリカン・ドリームはここから始まる。





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