死霊のはらわた

死霊のはらわた “Evil Dead”

監督:フェデ・アルヴァレス

出演:ジェーン・レヴィ、シャイロー・フェルナンデス、
   ジェシカ・ルーカス、ルー・テイラー・プッチ、エリザベス・ブラックモア、
   ランダル・ウィルソン、ブルース・キャンベル

評価:★★★




 とにかく悪魔にとり憑かれた女のメイクが怖いのなんの。見るからに何かに呪われている顔色。獣のように光る眼。濡れた髪を振り乱し、全身泥塗れ・血塗れになりながら襲い来る。派手なアクションも怖いけれど、物陰からそっと覗き見ているショットがキテいる。真夜中、突然この顔が目の前に現れたら、小便を漏らさないのは難しいだろう。

 オリジナル(81年)の登場から22年目にしてリメイクされた『死霊のはらわた』で最も讃えられるべきは、この憑かれた女の容姿をメイキャップにより表現したところだ。視覚効果はそこそこに、メイクを施された俳優の演技を基本に恐怖を魅せる。したがって超常現象が炸裂するような画はあまりないものの、白い肌をひりひり焼くような、鋭利なナイフで肌を裂くような、痛覚を刺激する恐怖が詰め込まれる。ホンキだ。ホンキでチビらせる気だ。

 そう、作り手はホンキになっている。ホンキで怖がらせに来ている。オリジナルは低予算ゆえのチープさが溢れていたし、サム・ライミ監督特有の悪乗り・悪趣味が愉快な味つけに繋がっていたけれど、ここにはそういうユーモラスなものを注ぎ込む余地はない。昨今流行りの方式だし、これはこれでありだと思う。けれど、ホラーと笑いはセットであってこそ、と考える者にはちょいと寂しい。

 でもまあ、目に焼きつくヴィジュアルが多いのは大いに褒めるべきなのだろう。枯れ木に縛りつけられた女がヒルだとか性器だとかを思わせる悪魔に下半身から入り込まれる場面。血に塗れた女の口が裂けていく場面。憑かれた女の舌がカッターナイフを舐めることで真っ二つに割れる場面。手が腐っていくことを絶望した女が腕ごと切り落とす場面。死ぬ間際に目に入ってくる絵がこれとは、相当不幸な死に様と言えよう。うぉー。

 キャストは皆、自己主張が強過ぎない者で揃えられている。憑かれる女を演じるジェーン・レヴィは所謂魔女系の容姿。ファルーザ・バークやローズ・マッゴーワンのように、普通にしていても妖しい感じが良い。特に目周りの不健康そうな感じが役に合っている。可笑しかったのはその兄を演じるシャイロー・フェルナンデス。「赤ずきん」(11年)ではそうは思わなかったのに、途中からダルビッシュ有に見えて仕方がない。ダルビッシュが撃たれる。ダルビッシュが反撃する。ダルビッシュが絶叫する。おぉ、ダルビッシュ、終いには我ら同様小便を漏らしてしまうのではないかと心配になる。

 デジタル上映について考え込む。映像がとにかく奇麗だからだ。カメラが映し出すものは正視し難いものが多い。しかし、映像自体はどこにも歪みのない滑らかな美しさで統一されていて、それがこの手のホラーには合わないことに、今更ながら気づかされる。古家の押入れにでも眠っていた記録媒体を再生しているような、古めかしい危うさはここにはない。あくまで今のスプラッターホラーだ。生活臭の希薄さに、デジタル化されたホラーの課題を見る。





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