ビトレイヤー

ビトレイヤー “Welcome to the Punch”

監督:エラン・クリーヴィー

出演:ジェームズ・マカヴォイ、マーク・ストロング、ピーター・ミュラン、
   アンドレア・ライズボロー、ジョニー・ハリス、ダニエル・メイズ、
   デヴィッド・モリッシー、ジェイソン・フレミング、エリス・ガベル、
   ダニエル・カルーヤ、ルース・シーン、ロバート・ポータル

評価:★★




 オープニングのアクションシークエンスが面白い。スタイリッシュな画面に突如アナログな魅力がこぼれて。犯罪グループが襲うのは、近未来を思わせるガラス張りの高層ビル。既に現金の強奪は済んでいる。ビル内にガスを流して警備員を眠らせるというベタな技を使い、後は逃走するだけ。闇夜を青い光が照らし、低音が響く音楽が流れる中、一味がバイクに乗り込む。これが中古屋で調達しました的な庶民臭さを具えていて、それなのにウィリーをカマす。その上、スーツに普通のカバンをリュックサック風に背負い、顔にはガスマスクというファッションだから堪らない。

 この奇妙な味わいはしかし、『ビトレイヤー』が目指したものではないらしい。その後は洗練を狙うことに熱心になるあまり、腹にガツンと来るようなざらついた感触を持ったアクションは封印される。スローモーションや突然のクローズアップが気恥ずかしい。オープニングのユーモラスな画面設計は、偶然の産物と見るのが妥当だ。

 物語はつまらない。中心に置かれる犯罪が、政治や警察の腐敗に繋がるというありきたりなものに終わっている。法を犯しそうにない者が実は悪人…というワンパターンのどんでん返しに頼る。基盤の弱さが露呈している。

 見ものはジェームズ・マカヴォイ演じる刑事とマーク・ストロング演じる引退した犯罪者の関係だ。3年前、追う側と追われる側だったふたりが、運命に導かれるように再会し、彼らを陥れる事件をきっかけに協力することになる。善と悪が交錯するところに、白黒つけられない倫理観の問題が浮上する。ただし、そういう説明で片づけられるのは、欠点にもなり得る。頭で作ったような関係に見える場面がちらほら。

 ワルを演じるストロングが素晴らしい。スタンリー・トゥッチとほとんど双子関係なハゲ頭なのに、背負っている哀愁が陰影に富んでいる。無表情の中に宿る息子を想う激情に胸を掴まれる。ワルなのにシンパシーを覚える。後頭部のハゲを見せつけ、それなのに笑いを誘わない。むしろカッチョイイ。

 それに較べるとマカヴォイは分が悪い。青年からオッサンへ、変化のど真ん中にいるマカヴォイは、ヒゲの生やし方や脂肪が乗り始めた身体つきに蒼さが残る。決してヘタクソな演技は見せていないのに、おかげでストロングと並ぶと迫力不足を感じさせる。ストロングを悪役に置くなら、刑事役には彼と同年代の俳優を起用するべきだった。例えば、英国俳優ではないけれど、マッツ・ミケルセンなんて、どうだ。

 そんなわけでストロングはマカヴォイとよりも長年のワル仲間を演じるピーター・ミュランと一緒になる画の方がキマッている。できる男同士の阿吽の呼吸が楽しく、スカシが勝ちそうな画面になっても滑らない。経験というものが生み出すものについて考える。





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