ヒックとドラゴン

ヒックとドラゴン “How to Train Your Dragon”

監督:クリス・サンダース、ディーン・デュボア

声の出演:ジェイ・バルチェル、ジェラルド・バトラー、アメリカ・フェレーラ、
   クレイグ・ファーガソン、ジョナ・ヒル、T・J・ミラー、
   クリステン・ウィグ、クリストファー・ミンツ=プラッセ

評価:★★★★




 ドリームワークス製アニメーションと言ったら、「シュレック」(01年)に代表される、皮肉を散りばめて物語を斜めから見ることを強いる作品が大半。分かりやすい感動物語の一切をディズニーに任せ、捻りを効かせることに全力を注いできたと言って良い。それなのにこの『ヒックとドラゴン』、なんともまあ正統派の作りではないか。ちょっと拍子抜けしてしまうほどなのだけど、そんなのを吹き飛ばしてしまうほどに面白いのだから、つべこべ言わずにこの世界観にどっぷり浸かるべきだ。

 そもそも少年と動物という組み合わせは、これまでに実写・アニメーションを問わずこれまでに何度も紹介された王道の題材だ。人々の心を捉えるものが、それだけこの組み合わせにはあるのだろう。大分昔にはのび太が恐竜と冒険していたし、最近のアニメーションだったら「リロ&スティッチ」(02年)もこのパターン。クリス・サンダース監督はなんとその「スティッチ」も手掛けた人物とのこと。展開も含めて共通するところが多くてちょっと芸がないのではないかと嫌味のひとつも言いたくなるものの、「少女とエイリアン」から「少年とドラゴン」へ主人公が変わったおかげもあるのか、伸び伸びとした語り口が大変気持ち良い。

 特筆すべきは飛翔シーンだ。怪我を負って巧く飛べなかったドラゴンが、少年の知恵を借りて大空に舞い上がる場面が、幾度となく出てくる。その度に何とも形容し難い高揚感・爽快感に包まれる。舞台は海の近くの島なので、下には木々が生い茂った緑ばかりではなく、海の青が見えることもしばしば。これが空の青、雲の白と鮮やかに混ざり合うのが素晴らしい。スピード感たっぷりに風を切り、宙を舞う彼らとの一体感は何物にも変えられない興奮を与えてくれる。3D映像も飛翔場面でこそ、美しく輝く。

 当然のことながら、ドラゴンとの交流を通じて少年が成長していく過程も感動的に描かれていく。最初は恐れていたドラゴンを優しい心ゆえに助け、その後は元々持っていた好奇心でドラゴンについての知識をどんどん吸収する。それゆえ思いがけずドラゴンを手懐けてしまう(というより相思相愛になる)のが可笑しい。偏見を知り、寛容を知り、勇気を知り、そして愛を知る。少年は身をもって経験することにより飛躍的に伸びていくのだ。この部分が大変リリカルに描かれ、前述の飛翔アクションと絶妙の絡まりを見せていることが、いかに効果的に働いているか。こうした少年の物語が、父と息子のドラマに繋がっていくのも見事。

 脚本が練り上げられているところはまだまだある。中でもまるで場を持たせるために出てきたように見えた、少年の(あまり優しくはない)仲間たち、或いはたくさんの種類がいるドラゴンたちが、使い捨てにされることなく後半急激にせり上がってくる件は本当に嬉しい。少年は一人ではない。その事実をとても楽しく魅せてくれる。エピローグ的部分での少年のある身体的変化もとても誠実だと思う。

 実を言うと、オープニングの映像には落胆したのだ。村がドラゴンに襲われる最初の見せ場なのに、画面が暗くて何が起こっているのかよく分からなかった上、3D映像が煩くてアクションとの相性の悪さを感じずにはいられなかったからだ。人物紹介もスマートとは言い難いし、バイキングの世界も説明がもたついているように思えた。それがどうだ。どんどん面白くなる物語に一瞬も目が離せなくなる。少年とドラゴンにまた会いたくなる。映画的興奮が確かにある。





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