アイアンマン3

アイアンマン3 “Iron Man 3”

監督:シェーン・ブラック

出演:ロバート・ダウニー・ジュニア、グウィネス・パルトロウ、
   ドン・チードル、ガイ・ピアース、レベッカ・ホール、
   ジェームズ・バッジ・デイル、ジョン・ファヴロー、
   ステファニー・ショスタク、ベン・キングスレー、マーク・ラファロ

評価:★★★




 今更ながら思うのは、マーヴェルが生み出したヒーローの世界は繋がっているということだ。キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ブラック・ウィドウ、ホークアイ…「アベンジャーズ」(12年)では遂に共闘が実現したのも記憶に新しい。彼らは同じ世界に生きている。別にエンドクレジット後に、ゲスト出演があるからというわけではない。

 …とわざわざ断わったのは、「アベンジャーズ」の根底にあった精神の健全性が、受け継がれていることを感じる場面が多かったからだ。ヒーローもまたひとりの人間だ。頭脳明晰でも特殊能力を持っていても苦悩する。アイアンマン=トニー・スタークは「アベンジャーズ」の戦いにより自分こそが最強の存在ではないことを思い知り、パニック発作まで引き起こす。彼は一体、それをどう乗り越えるだろうか。『アイアンマン3』のテーマだ。

 アイデンティティーの問題に落ち込んだスタークを救うのが、子どもというのが嬉しくなる。テネシーの雪の町に住む少年との出会いがスタークの闘志を再点火させる。自分を理解してくれる人の一言が、彼を窮地から救い出す。この流れが好もしいのは、ヒーローが、アイアンマンが子どもにとって憧れの存在であるということを思い起こさせてくれるところだ。そうだ、ヒーローはヒーローでなければならない。辛くてもヒーローでなければならない。それでこそヒーローだとエールを贈る。そして子どもは、いつしか大人になる。そう、我々はずっと前、確かに子どもだった。

 ヴァリエーション豊かなアクションが、その深度をさらに深めていく。ヒーローと一緒の世界に住む人々が、ヒーローを崇め、共に傷つき、共に闘う。アイアンマンは次から次へと戦いを強いられる。けれどそこには、必ずと言って良いほど、守るべき存在も見える。彼らは同志でもある。それを伝えるアクションが本当に多い。豪邸が攻撃される場面。飛行機からの落下場面。敵のアジトに乗り込む場面。アクションがヒューマンな感動と密着する。

 冒頭から様々なパワードスーツが登場するのが特徴的だ。最新のものは第42号。自信喪失の影響もあったのだろう、スタークはスーツ開発に没頭しているという設定だ。しかも、機能が格段に充実している。装着することで健康状態を調べたり、リモートコントロール風に動かすことができたり、バラバラになったパーツを順番に装着することが可能になったり…。メカファン心をくすぐる新機能が愉快痛快。しかも、これが物語の伏線にもなっている。クライマックスでそれらが浮上するときの快感よ。逞しさに磨きがかかる視覚効果や音響、編集同様、脚本が大切にされている証拠だ(他のヒーローが助けに来ないのは不自然だけれど、まあ、仕方がない)。

 悪役も含め、登場人物が大切にされている。中でもグウィネス・パルトロウ扮するヒロインの重要性が大きくなっている。恋人役で終わることなく、彼女にもまた「事件」が起こり、ドラマの奥行きが広がっている。パルトロウが無意味にシャープな腹を見せるのには苦笑い。絶対パルトロウのリクエストだと思う。いや、自慢したくなるのも分かる。

 それにしても、アイアンマンは異色のヒーローだ。何と言っても、スーツの中に入るのが中年のオッサンというのが、他にない。大抵のヒーローは青年という呼称が似合うものだろう。うっすらと脂肪が乗った身体のオッサンが、ハイテクスーツによりスーパーな力を手に入れる。子ども時代を忘れてしまった大人が、昔を思い出す親しみやすさが大きなチャームになっている。

 断わるまでもなく、ダウニーの貢献度は絶大だ。現実と幻想の間で立体的に立ち上がる肉体を彼ほど鮮やかに見せられるスターは考えられない。パワードスーツを着て顔だけを出す場面が何度もあるけれど、全くバカに見えないのがその証拠だ。独特のユーモア感覚はそのままスタークの存在感に繋がっている。もっと暗く深刻になってもおかしくない話に、それでも愉快な風が吹いたのは、間違いなくダウニーの力量によるものだ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ