17歳のエンディングノート

17歳のエンディングノート “Now Is Good”

監督:オル・パーカー

出演:ダコタ・ファニング、ジェレミー・アーヴァイン、パディ・コンシダイン、
   オリヴィア・ウィリアムス、カヤ・スコデラー・リオ

評価:★★★




 自分が死ぬと分かったら、そのときを迎えるまでどうして生きたら良いのか。この問い掛けはよほど人の心を捉まえて離さないものらしい。難病映画の多くがそれをテーマに話を展開させるし、「死ぬまでにしたい10のこと」(03年)「最高の人生の見つけ方」(07年)「私だけのハッピー・エンディング」(11年)等そのままズバリ、やりたいことリストを作る映画もわんさかある。生きるって素晴らしい!自分らしくいるって最高!…というお馴染みの結論を導くのが常だ。

 『17歳のエンディングノート』もそのまんまな映画だ。17歳の少女が白血病で余命を告げられる。この手の映画が嫌なのは、泣かせを感動と勘違いした作法が目立つからだ。案の定この映画も、その方向に向かう。後半、いよいよ死期が迫ったときの泣かせ攻撃には思わずため息が漏れる。

 けれどスパッと斬り捨てるにはちょっと惜しい。多くの難病映画とはちょいと違う面白要素が見え隠れしていて、その細部を探ると、そのミスマッチの妙が心に不思議な手応えを残す。

 まず、映像の瑞々しさ。ミスマッチと言うほどではないにしても、雨上がり、晴れ渡ったときの空気の匂いがする。舞台となる英国、バーンハムビーチズの街角が表情豊かなこと。バスからの何気ない風景は、死ぬ前のバカ騒ぎから程遠い情感を湛える。

 そう、そもそもありがちな、どうせ死ぬからと開き直ってのやりたい放題が避けられる。最初こそ少女がセックスを目標に掲げるのにゲンナリするものの、全体的には行為そのものが目的になっていないデリケートな感情が伝わる見せ方が選ばれる。日常の景色にこそ潜む生の意味を大切にしているのは好感が持てる。

 アイドル映画的空気が漂うのも可笑しい。深刻な展開の中に時折見える、少女漫画的装飾が奇妙な味に繋がっている。美しい海や花々。降りしきる雪に闇夜を照らす花火。少女の恋の相手がバイクで誘いをかける件など、辛抱たまらん。相手役のジェレミー・アーヴァインも朴訥と言うか田舎臭いと言うか、垢抜けない王子様にピッタリじゃないか。

 が、少女を演じるのはダコタ・ファニングなのだ。ファニングの素っ気無い表情は、少女漫画的装飾を全力で拒否する。スタイリッシュを狙っているところのあるヴェリーショートからして似合っていない。それが良い。老婆顔が活きている。ファニングが見せるのは可愛さなんかではない。何もない風に装いながら、それでも生を渇望するもがきだ。アイドル映画の枠に収まらない居心地の悪さが、青春が輝く空間を完成させる。

 ファニングはあまり好きな女優ではないけれど、今回は見直した。感情を表に出し過ぎないのが良い。それよりも所作の中に空虚さを封じ込める。年齢に不釣り合いの落ち着きが、今後面白く化けるかもしれない。性的なものをほとんど感じさせないのは気掛かりだけれど、気づかなかったことにする。





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