ザ・ワーズ 盗まれた人生

ザ・ワーズ 盗まれた人生 “The Words”

監督:ブライアン・クラグマン、リー・スターンサール

出演:ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・アイアンズ、デニス・クエイド、
   オリヴィア・ワイルド、ゾーイ・サルダナ、ベン・バーンズ、
   ノラ・アルネゼデール、ジョン・ハナ、J・K・シモンズ

評価:★★




 ブラッドリー・クーパーが演じるのは売れない作家だ。新婚旅行先のパリで彼は、新妻と一緒に入った骨董品屋で古びたバッグを手に入れる。ニューヨークで彼はバッグの中から素晴らしく描き込まれた誰かの原稿を発見。それを自分名義の小説として発表、瞬く間に富と名声を得る。その彼に老人が近づき、小説は自分が書いたものだと告げる…。

 盗作した男と本物の作者。作者は小説家を強請りに来たのだろうか。どう考えてもスリラーになりそうな展開だけれど、『ザ・ワーズ 盗まれた人生』はしかし、そちらの方向に背を向ける。何しろ小説家はすぐに自分の非を認める。妻に真実を告白する。出版社にも謝罪する。本物の作者に償いをしようとする。

 B級スリラーに向かわなかったのが良いことだったのかどうか。物語に最後まで付き合うと、作り手の言わんとしていることは分かる。犯した罪とその代償が前面に浮かび上がり、選んだ人生を生きるしかないという導きがなされる。新味のある価値観の提示ではないものの、作家にとって言葉を吐き出すとはどういうことなのか、言葉を失うとは何を意味するのか、四人の作家の姿を追うことでしみじみとした情感が漂う。

 けれど、これは映像として見せるには不向きの題材だろう。作家というのは大抵が原稿に向かっている。四人の作家のうちの一人は、聴衆に読み聞かせする。また一人は過去の体験を切々と語る。人間のアクションが重要視される映画というメディアでは、そのヴァリエーションの乏しさが、画面の停滞感に繋がることを作り手が気づいていない。作中、最も面白いのは娘を失う若い作家のエピソードだ。彼の場合、原稿に向かうまでのアクションが映画向きだからだ。

 せめてジェレミー・アイアンズ扮する本物の作者と接触してからのクーパーの葛藤は無視するべきではなかった。富と名声を手に入れた彼は、その方法にほとんど疑問を抱いていない。それなのに自分の人生を根元から崩してしまいそうな真実を知った男に出会っても何も苦悩することなく、すぐさま良心的な行動に走るだなんて…。盗作した者の心の揺れを描いてこそ、伝わる物語のはずだ。

 クーパーの役者としての個性を勘違いしていたかもしれない。「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」(09年)の印象が強いので喜劇で最も輝くタイプだと思っていたのだけれど、むしろブルーの瞳に宿るほの暗さこそがポイントの人ではないか。普通にしていればハンサムでラヴストーリーが似合うだろう。弾けたコメディ演技もできる。しかし、涼やかを通り越して暗く冷たくもあるブルーの目からは、人間誰しもが持っている暗黒の気配が微かにこぼれ出している。意外に振り幅の広いスターなのではないか。





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