キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け

キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け “Arbitrage”

監督:ニコラス・ジャレッキ

出演:リチャード・ギア、スーザン・サランドン、ティム・ロス、
   ブリット・マーリング、レティシア・カスタ、ネイト・パーカー、
   スチュアート・マーゴリン、クリス・アイグマン、グレイドン・カーター

評価:★★




 リチャード・ギアほどイメージの変わらない人も珍しい。ふさふさ髪とへらへら顔のコンビネーション芸により、30年以上ハリウッドのトップグループにいるのだからたいしたものだ。これだけ頑なに基本イメージを守ると退屈ではないのかと心配してしまうけれど、ヒュー・グラント同様、ギアは平気らしい。最近はもはや、この姿勢に尊敬の念さえ抱いている。

 『キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け』のギアは、これまでの集大成と言って良い役柄で登場する。金融業界の大物という設定こそマイケル・ダグラスみたいだけれど、ここでは単に大金持ちと考えれば良い。高級アパート、リムジン、召使い、部下、別荘、美しい妻と愛する子どもたち。ある種類の人たちにとっては、これ以上ないくらいに満ち足りたリッチライフ。もちろんギアには愛人がいる。

 ギアの生活を観察するところから始まる。投資の失敗で大ピンチだというのに、僅かでも時間ができると、愛人にメールしたり直接会いに行ったりするのが可笑しい。帰宅すると誕生日のサプライズパーティ。疲れているのをおくびにも出さずに笑顔を振り撒き、「いちばん大切なのは家族です」。パーティがようやく終わっても、ベッドに入らない。いそいそと愛人宅へ向かうのだ。このマメ男!バイタリティを形作っているものが女好きの精神というのが素晴らしいではないか。

 金融界の腐ったところを炙り出すのもテーマのひとつではあるものの、そちらは全然面白くない。案の定いけ好かない連中ばかりで(もちろんひがみ根性が入る)、彼らがどうなろうと知ったこっちゃないというのが正直なところだ。それなのにある程度見てしまうのは、ギアのセルフパロディが強力だからだ。

 ことある毎にギアは、多くの人を巻き込みたくないと言うのだけれど、そんなのは嘘っぱちだ。彼はプライドと虚栄で生きている。それが明け透けになってしまうのが、ギアの下手なところと言うか愛すべきところと言うか。その上で彼は酔っている。自分に酔っている。罪な男だぜ…。

 それなのに意外にも、ギアは共演者を立てることのできる人だ。でもひょっとしたら、それは過大評価なのかもしれない。単に食われやすいだけなのかもしれない。ここでも若手のふたりに気持ち良く食われる。娘役のブリット・マーリングと事件の鍵を握る青年役のネイト・パーカーだ。マリングの透明感に呑まれ(ベージュのスーツとブロンドの対比!)、パーカーの誠実な目に降伏する(彼を“選んだ理由”はもっと突っ込むべき)。イイヒトだということは間違いないと思う。

 作り手がいちばん気を遣ったのは録音ではないか。煩い音は極力排除して、ギアの囁き声をくっきり浮かび上がらせることに全力を注いでいる。おかげでギアの声が妙に耳に残る。特に興味のない人には迷惑かもしれない。





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