ジャックと天空の巨人

ジャックと天空の巨人 “Jack the Giant Slayer”

監督:ブライアン・シンガー

出演:ニコラス・ホルト、エレノア・トムリンソン、ユアン・マクレガー、
   スタンリー・トゥッチ、イアン・マクシェーン、ビル・ナイ、
   エディ・マーサン、クリストファー・フェアバンク、サイモン・ロウ

評価:★★




 肝心要の「巨人」の造形が案外悪くない。すっかりお馴染みとなったモーション・キャプチャーにより表現される。現実感のある怪物を狙わなかったのが正解だ。岩のような身体つきとハンマーで激しく殴られたようにブサイクな顔がポイント。動きはスロウなのに、巨人ゆえに人間には素早く映る感じも良く出ている。日本で古くから言い伝えられるだいだらぼっちもこんな風貌ではないか。ガオォォォ…ッ。

 邦題からも分かるように、「ジャックと豆の木」をベースにしている。改めて思うのは、基本設定のロマンティックなところだ。豆から飛び出した蔓がが天まで伸びていくというだけでも面白いのに、行き着く先に巨人の世界が広がっているというのに唸る。小人ではなく巨人というのがロマンを刺激する。

 『ジャックと天空の巨人』は近頃ハリウッドで流行りの、童話や御伽噺ベースのアクション・アドヴェンチャー。一度物語を解体し、想像力と創造力を駆使して新しい物語を創り上げる。ブライアン・シンガー監督のそれが大量に注がれるのは、前半部と言って良いだろう。即ち、巨人の世界だ。人間と巨人の対比を軸にしたサスペンス作り。分かっていてもスリリング。キャラクターたちもユーモアを意識した振る舞いで物語に愉快に緩急をつけている。

 ただ、脚本においてより捻ったと思われる後半部は機能していない。「ジャックと豆の木」では、地上に逃げ降りたジャックが蔓を斧で切り落とし、巨人をやっつけたところで話が終わる。ところが、ここでは巨人はまんまと地上に降り立ち、人間たちを食い散らかす。

 この部分が退屈なのは、巨人と人間の戦いが肉弾戦で終わっているからだ。巨人が大きな図体を武器に暴走し、人間は弓でそれを向かい討つ。その繰り返ししか描かれない。前半元気の良かった登場人物も戦いに夢中になるあまり、すっかり個性を失う。

 後半部を新たに創り上げた弊害は、実は前半部から露になっている。話をどんどん進めなければならないためにタメというものがほとんど放棄される。じっくり盛り上げられるところ、盛り上げるべきところがガンガン飛ばされる。語り口が前のめりになっている。話が淡白になったのも弊害と言える。話を前に進めることに意識が向き、語ることに無関心になっている。筋を追うだけなら30分で済みそうなところを無理矢理伸ばしている印象だ。巨人が腐るほど出てくるのも有難味を消失させる。

 バタバタ人が死んでいく割りに描写が温いのもどうか。レイティングを気にしてのことだろうけれど、巨人でさえも派手な死に方は避けられる。二つ首の巨人の最後など、もっと豪快で幻想的な画作りができたはずなのに…。蔓と巨人の一体化、見たかった。

 顎が細いせいかハンサムでもパンチに欠けるニコラス・ホルトやミーシャ・バートン10年前みたいなエレノア・トムリンソンよりも、脇を固めるヴェテラン俳優が楽しい。特にユアン・マクレガーの飄々とした佇まいに感心した。いつもとは声の調子を変えて、どこか抜けていて、でも頼もしくもある男を楽しげに演じている。クライマックスの戦闘場面では、もっと活躍して欲しかった。





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