360

360 “360”

監督:フェルナンド・メイレレス

出演:アンソニー・ホプキンス、ジュード・ロウ、レイチェル・ワイズ、
   ベン・フォスター、マリア・フロール、ディナーラ・ドルカーロワ、
   ガブリエラ・マルチンコワ、ジャメル・ドゥブーズ、ヨハネス・クリシュ、
   ジュリアーノ・カザヘー、モーリッツ・ブライブトロイ、
   ルチア・シポシーヴァ、ヴラディミール・ヴドヴィチェンコフ、
   マリアンヌ・ジャン=バプティスト、マーク・イヴァニール

評価:★




 そうか、長年の謎がやっと解けた。「アメリ」(01年)や「アンジェラ」(05年)のジャメル・ドゥブーズ、誰かに似ているとずっと思っていたのだけど、マスク姿になったときに気がついた。少年隊のカッちゃんとそっくりではないか。輪郭も肉つきも優しそうな雰囲気も…。ちょっと前までブラジルの気鋭と呼ばれたフェルナンド・メイレレス監督の『360』の収穫が、たったこれだけとは情けない。

 いや、ホント、メイレレスが手掛けているとは思えないほどに退屈な構成だ。ウィーン、パリ、ロンドン、デンヴァー、フェニックス…世界各国に住む人々の物語が順番に描かれていく。全く接点のないと思われた人々が実は繋がっていて、時には極めて重大な人生のポイントを落とすことすらある。ウィーンで始まった物語が世界中を駆け巡る。世界一周、360度して物語はまた最初に戻る。

 それがどうしたとしか言いようがないのは、一つひとつの話があまりにも空虚だからだ。例えばドゥブーズのエピソードを思い出してみると良い。妻を亡くしたアルジェリア人のドゥブーズは、敬虔なイスラム教徒。パリで歯科医として働く彼は人妻に恋をしてしまい思い悩む。…という設定がいきなり紹介され、しかもそれ以上そこから進むことがないのだ。この程度の日常が幾つか並べられ、見知らぬ人と繋がっていることが示唆されるだけの映画だ。

 用意された話が交互に描かれるのではないのに驚く。メイレレスは大変律儀なことに、ひとつの話が終わると次の話へ、それが終わるとまた次の話へと、折り目正しいペースを崩さない。つまりジュード・ロウが出てきて次にどうなるのかと気を揉んでも、その答えは決して提示されない。中途半端に切り上げられて、そこで話は終わってしまうのだ。群像劇ではなくオムニバス映画と呼ぶ方が的確だろう。それもオムニバスを形作る一つひとつができそこない。

 それにしても淋しい大人たちが繰り広げる物語に全くサスペンスが見当たらないのには呆れる。メイレレス特有の編集術はすっかり影を潜める。何が隠れているのか分からない危険な森を敢えて突破していくようなかつての勇気はどこにも見当たらず、何もない砂浜で時間が過ぎるのを待っているだけ。そこには潮干狩りができそうな貝すらないではないか。

 おそらく役者たちはメイレレスの名前に惹かれて出演を決めたのだろうけれど、誰もが彼もが顔を見せるだけで終わっていくのが不憫だ。ちょっと印象に残ったのは、ベン・フォスターの演技がショーン・ペン化していたことぐらいだろうか。





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