ソルト

ソルト “Salt”

監督:フィリップ・ノイス

出演:アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュライバー、
   キウェテル・イジョフォー、ダニエル・オルブリフスキー、
   アンドレ・ブラウアー、オーガスト・ディール

評価:★★★




 何ならタイトルを「アンジェリーナ・ジョリー」にしたらどうかと思うのだ。なんせ『ソルト』はジョリーの魅力が全てのような映画だもの。ジョリーの魅力が分からない者などいないとばかりに、ひたすらジョリー一本押し。ここまでたった一人の女優に依存した映画というのも、娯楽映画とは言え、珍しい。ジョリーがアクション女優としてのポジションを揺るぎないものにした証拠だろう。

 それにしても、ジョリーはその存在がますます危険になってきている。「17歳のカルテ」(99年)で映画界で認められ始めた頃からその危うさは全開になっていたけれど、それがいよいよ研ぎ澄まされてきた感。ここでは「チェンジリング」(08年)で前面に出ていた母性を跡形もなく消し去り、人間凶器としてアクションの爆弾を次々と投下していく。自分自身の身体を動かすのは当たり前、しかも「頑張っている」感じがなくて、反射的に動いているようにしか見えないのが素晴らしい。行動力・知恵・勇気を具えたヒロインのイヴリン・ソルトが、ジョリー本人に重なっていく、ある意味究極のスター映画だ。

 ジョリーはこれまでにもアクションを魅せてきた人だけれど、「60セカンズ」(00年)や「トゥーム・レイダー」(03年)の頃とは比べものにならないほどにスケール感が増している。それはもう作品をコントロールしてしまうくらいに。最初逃げる立場だったソルトが、気がつけばCIAを、政府を、そして観客を翻弄しているのが、愉快痛快。そのソルトを操っているのは、もちろんジョリーなのだ。

 果たしてジョリーは一体何者なのか。善玉なのか、悪玉なのか。このシンプルな問い掛けだけで引っ張ってしまうあたり、ジョリーがホンモノである証だ。展開が強引なところ、無理のあるところ、破綻しかけているところはいくらでもある。あるけれど、これらを全て吹き飛ばしてしまうのだから、フィリップ・ノイス監督も感謝していることだろう。ソルトは「共感を呼ぶ」のではなく「興味を掻き立てる」人物であり、これ以上ないというくらいの磁力を持ったジョリーの他に、適役がいるはずがない。

 ところで、この映画は元々はトム・クルーズ主演で企画されていたものだという。信じられない!ひょっとして(いや、絶対に)大幅に内容が変わっているのではないか。クルーズもアクション・スターとして結果を残している人だけれど、彼の場合、絶対に悪玉にはなり得ず、サスペンスは生まれなかったことだろう。クルーズは「コラテラル」(04年)のように分かりやすくないと、悪玉にはフィットしない。そう考えると、善と悪が入り混じった海を華麗に泳ぐジョリーは、やはりたいしたものなのだ。本当に面白い、無敵のスター女優だ。





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