嫉妬

嫉妬 “Bye Bye Blondie”

監督:ヴィルジニー・デパント

出演:エマニュエル・ベアール、ベアトリス・ダル、ソコ、
   クララ・ポンソ、パスカル・グレゴリー、ストーミー・バグジー

評価:★★




 青春時代に出会った女ふたりの物語が、案外普通の感覚で描かれる。初めて顔を合わせた場所が精神病院というのが変わっているくらいで、その後のふたりの結びつきはよくあるパターンだ。同性愛という言葉で括るには乱暴過ぎる、強い繋がりがふたりにはある。それを見せられないと、味気なく感じられても仕方がない。

 世間に反抗的な態度で生きる少女時代の彼女たちが分かりやすい。損得を考えない純粋な愛情。怒りや絶望を共有する同志的密着。傷つきやすい心。不安定な言動。残酷な決断。幼さゆえの無力。青春時代が記号化され、奔放であることを求めるふたりの生き方が、思いがけず堅苦しい。

 それでも、20数年後の再会が強烈なのは、演じる女優の力に他ならないだろう。タレントとしてテレビで活躍するフランセスをエマニュエル・ベアールが、男に捨てられたばかりで住むところすら儘ならないグロリアをベアトリル・ダルが演じる。フランス映画界を代表する存在でありながら、対極のキャリアを積み上げるふたりが、激突する。

 見た目のインパクトが強いのはダルの方だ。「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」(86年)から25年以上経ち、ダルはその間、他の誰もが獲得し得なかった怪物性を手に入れる。人間の容姿であるのに人間に見えない、得体の知れない何かを感じさせる。頬の弛みや腰回りの脂肪。身体全体の厚みも強力だ。黒いパンツスタイルで固め、画面に登場する度に、怪物現るの迫力を刻みつける。そして、怪物的であっても、確かに純真なものを感じさせるのが、個性だ。

 ベアールはと言うと、美貌をキープしている。漫画のように大きな目と、スレンダーな身体。パッと見ただけなら、ダルに喰われてしまいそうだ。しかしもちろん、ベアールはそんなタマではない。ダルが肉体的暴力を振りかざせば、ベアールは精神的暴力で対抗する。ダルをしたたかにコントロールし、自分の欲望を満たすことを目指す。ベアールが自らを解放させるクライマックスにはなかなかの凄みがある。

 ベアールとダルの対決に軸を置いた物語にしなかったのが勿体ない。女ふたりの単純ではない愛憎の物語なのに、「愛」の方はおとなしく「憎」の方も慎ましい。もっとどろどろとした、常軌を逸した過激さで勝負した方が面白い画が出来上がったのではないか。

 例えばそう、ダルはベアールのアパートに、自分の「居場所」を創り上げる。ガラクタアート的なわけのわからない空間にダルの自我が宿る。そこにはベアールしか入ることができない。『嫉妬』には、そういうふたりでなければ実現できないものが欠けているのだ。





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