ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 “Män som hatar kvinnor”

監督:ニールス・アルデン・オプレヴ

出演:ミカエル・ニクヴィスト、ノオミ・ラパス、
   スヴェン=ベルティル・タウベ、イングヴァル・ヒルドヴァル、
   レナ・エンドレ、ステファン・サウク、ビヨルン・グラナート、
   ペーター・ハーバー、マーリカ・ラーゲルクランツ

評価:★★★




 スティーグ・ラーソンによる原作はシリーズ化もされている世界的ベストセラーらしく、なるほど極めて個性的なヒロインであるリスベットが、圧倒的な存在感を見せている。鼻ピアス、全身タトゥー、ゴスメイク…はっきり言って、全く好みではないファッション性の持ち主なのだけど、演じるノオミ・ラパスの力ゆえか(このメイクだと少々サディ・フロスト似)、次第に目が離せなくなってくる。外見的にも内面的にもとっつきにくいリスベットはしかし、そのハードなイメージの奥底に孤独と傷つきやすいハートを持っている。小柄でスリムな体型を目一杯動かしている彼女にそれがちらつくのが愛しい。ハッカーという設定なのでパソコンと睨めっこするだけかと思ったら、どっこいしっかり身体を動かして画面に蹴りを入れるのも立派だ。

 リスベットがジャーナリストのミカエルと共に調査する事件が、古風な匂いを発散させているのが嬉しい(あくまで古風。古臭くはない)。40年前の少女の失踪事件から始まり、依頼主の伯父を中心に巨大企業を仕切るある一族の抱える秘密が次々明らかになっていく。ナチスや聖書、連続殺人事件、新聞写真、歴史文献といったキーポイント、キーアイテムが散りばめられた展開は、日本だと横溝正史の世界に通じるものがあるかもしれない。一族を呑み込んでしまうおどろおどろしい情念を感じられるのがいちばん面白いところだ。北欧の美景も物語にミステリアスな味を添えている(空気の冷たさはもっと強調しても良かった)。

 尤も、ストーリーテリングにはもう一工夫欲しかった。前半が事件と登場人物の紹介に丸々費やされ、なかなか話が転がっていかないのがじれったい。人間関係の整理がもたついている感も否めない(ちゅーか、一族の人物関係の把握に一苦労)。エピローグ的な部分がやたら長いのも間延びした印象を与える。キャラクターと事件への寄り掛かりが過ぎるのだろう。

 リスベットの謎めいた過去の魅せ方もイマイチだと思う。どうやら事件に通じるところのある出来事を経験していることが匂わされるのだけれど、あまり巧いリンクのさせ方ではなく、後半になってもさほど効いてくることはなかった。おそらくシリーズ化を見据えたがゆえに挿入されたのだろう。このあたりはシリーズ物の苦しい裏事情が見えるようだ。

 リスベットとミカエルを主人公にした原作はまだあるようで、同じキャストによる映画版も既に2本が待機している。そちらへの期待が膨らんでしまうのは、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』でもふたりが合流してから、一気に物語が弾み始めたからだ。きっと相性の良い組み合わせなのだ。ふたりの紹介が済んでいる分、もっと濃厚に事件を描くことができるはずだ。





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