BEST10 & WORST10 2012 Vol.3

◆BEST ACTOR
 ドミニク・クーパー(デビルズ・ダブル ある影武者の物語)
 ライアン・ゴズリング(ドライヴ)
★ゲイリー・オールドマン(裏切りのサーカス)
 マイケル・シャノン(テイク・シェルター)
 オーウェン・ウィルソン(ミッドナイト・イン・パリ)

 オールドマンの演技に感激したのは久しぶりだ。巧いだけにどうしても過剰演技に走る嫌いがあったからだ(特に悪役において)。が、ここでの彼は演技を抑え込む。そして無表情の中にスパイの生き様を滑り込ませる。力がなければできない技だ。クーパーの鮮やかな二役、ゴズリングの静寂、シャノンの捻りの効いた狂気、ウィルソンのナチュラルな姿も映画の世界で輝いていた。特にゴズリングは、観る度に変化球を投げ込むのが愉快。



◆BEST ACTRESS
 エイミー・アダムス(人生の特等席)
 アン・ハサウェイ(ワン・デイ 23年のラブストーリー)
 レベッカ・ホール(アウェイクニング)
 ルーニー・マーラ(ドラゴン・タトゥーの女)
★ミア・ワシコウスカ(ジェーン・エア)

 ワシコウスカの美しい立ち姿に惚れ惚れとする。真っ白な肌に浮かび上がる繊細な感情の数々も、あぁ、なんと艶やかなのだろう。誰もが知るヒロインが新しく生まれ変わる。彼女を猛追したのはオリジナル女優より数倍優れていたマーラ。今にも粉々になりそうな身体を必死に奮い立たせる様に魅せられる。アダムスの大御所に負けない存在感、ハサウェイが体現する人生の儚さ、ホールにまとわりつく孤独の匂いもそれぞれ魅力的。



◆BEST SUPPORTING ACTOR
 ジョシュ・ブローリン(メン・イン・ブラック3)
★ジョン・グッドマン(人生の特等席)
 クラーク・グレッグ(アベンジャーズ)
 エディ・レッドメイン(レ・ミゼラブル)
 コリー・ストール(ミッドナイト・イン・パリ)

 映画ファンにとってグッドマンはコーエン兄弟作品の常連として知られている。が、もちろんそれだけの人ではない。『アーティスト』『アルゴ』でも妙演を見せたこの巨体俳優、出てくるだけで画面がパアッと明るくなる、有難い個性の持ち主だ。ブローリンのトミー・リー・ジョーンズ演技、レッドメインのフレッシュさ、ストールの瞬発力も忘れ難いが、グレッグの体現したコミックファンの魂には思わずホロリ。彼がベストでも良かった。



◆BEST SUPPORTING ACTRESS
 エレナ・アナヤ(私が、生きる肌)
 ローズ・バーン(ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン)
 ジュディ・デンチ(007/スカイフォール)
★エマ・ストーン(アメイジング・スパイダーマン)
 ジャッキー・ウィーヴァー(アニマル・キングダム)

 ボンドガールなデンチと笑顔に冷徹さを潜ませたウィーヴァーの怖いババア対決も見ものだが、ここはここ数年、急激にスター性を上昇させているストーンへ。聡明さと可愛さを軽妙に同居させる絶妙の輝き。親しみやすくもあるのがポイント。主演男優とのカップルぶりも実に微笑ましい。吹っ切れた演技を見せるバーンにはイメージチェンジ賞を、作品の奇怪度を象徴したアナヤに健闘賞を捧げる。勇気ある演技と言える。



◆BEST BREAKTHROUGH ACTOR
 ジェレミー・アーヴァイン(戦火の馬)
 エズラ・ミラー(少年は残酷な弓を射る)
★オマール・シー(最強のふたり)

 実のところ、対象作は全身麻痺の男を演じたフランソワ・クリュゼの方が評価されやすいだろう。けれど、シーは攻めを崩さない。代わりに恐れることなくきわどい生命力をぶつける。これが作品のテーマとリンクする。鋭い眼光と太陽を思わせる笑顔がスピーディに切り替わる気持ち良さ!動物的演技だ。



◆BEST BREAKTHROUGH ACTRESS
 フェリシティ・ジョーンズ(今日、キミに会えたら)
 レベル・ウィルソン(ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン)
★シャイリーン・ウッドリー(ファミリー・ツリー)

 ウッドリーはテレビ女優から映画女優へと見事に変身を見せた。ジョージ・クルーニーの娘役として、生意気さと硝子の心を瑞々しく体現した。アレクサンダー・ペインのような揺るぎない世界観を持った監督の下でも自分を見失わない逞しさは、大変頼もしい。今後はスター性もどんどん身につけていくと見た。



2012年BEST10をふりかえって

1. ミッドナイト・イン・パリ
2. ドライヴ
3. 裏切りのサーカス
4. ジェーン・エア
5. WIN WIN/ダメ男とダメ少年の最高の日々
6. 私が、生きる肌
7. アーティスト
8. ル・アーヴルの靴みがき
9. アベンジャーズ
10. 崖っぷちの男

 映画好きで良かったと思うときがある。映画でしか味わえない充実を感じた瞬間だ。大抵の場合、その物語の世界の中に入り込んでいる。

 『ミッドナイト・イン・パリ』はそういう瞬間を封じ込めたような映画だった。映画の世界に誘い込まれ、主人公と一緒に遊んでいるような気分になった。おそらくウッディ・アレンもそれを大切にしている。

 その他の映画にも多かれ少なかれ、映画好きの血を感じるものばかりだ。コメディであれドラマであれスリラーであれアクションであれ、作り手の映画愛は案外分かりやすく表面に浮かび上がるものだと思う。

 完成度云々よりも大切なものがちらつく。

 なお、上位3本はどれをトップに置いても良かった。その中で『ミッドナイト・イン・パリ』を最上位に選んだのは、アレンへの敬意を込めて。長い間、本当にありがとうございます。





◆WORST ACTOR
★ラッセル・クロウ(レ・ミゼラブル)
 ジョニー・デップ(ダーク・シャドウ)
 ジョシュ・ハッチャーソン(ハンガー・ゲーム)
 テイラー・キッチュ(ジョン・カーター)
 アーノルド・シュワルツェネッガー(エクスペンダブルズ2)

 どうやらミュージカル向きの歌声というものがあるらしい。歌唱力云々ではなく、声質の問題なのだろう。クロウのそれは、映画の世界に溶け込むには硬い。とても硬い。歌声が物語に乗る度に現実世界に引き戻される。デップはいつまでだらだらと遊び続けるつもりか。強引に復帰したシュワルツェネッガーと共に反省して欲しい。ハッチャーソンとキッチュはハリウッド映画を背負うには華がない。



◆WORST ACTRESS
 ケイト・ベッキンセール(トータル・リコール)
 リン・コリンズ(ジョン・カーター)
★キーラ・ナイトレイ(危険なメソッド)
 サラ・ジェシカ・パーカー(ケイト・レディが完璧な理由)
 ノオミ・ラパス(プロメテウス)

 おそらく野心ある俳優は、自分の力を試してみたくものなのだろう。培ってきた技術で可能性を探る。悪いことではない。けれど、誰かが止めなければならないときがある。デヴィッド・クローネンバーグはナイトレイを止めなかった。彼女は見世物になってしまった。ベッキンセールはアクションが似合わず、コリンズとラパスはスター性がない。パーカーのセルフパロディはどこまで続くのか。



2012年WORST10をふりかえって

1. マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
2. ダーク・シャドウ
3. ロック・オブ・エイジズ
4. 恋愛だけじゃダメかしら?
5. 幸せの教室
6. ジョン・カーター
7. 英雄の証明
8. アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいの家族たち
9. レ・ミゼラブル
10. 別離

 自分の作品を客観的に見られる能力。映画人にとって、これは考えられているよりも、実は相当に重要な力なのではないか。

 準備に長い年月をかけ、ようやく撮影に入り、編集にも相当の時間を割く。題材と向き合う時間が長くなればなるほど、それに対する思い入れが深くなる。題材との距離がみるみる近くなり、いつの間にかそこには冷静な眼差しは皆無だ。

 作り手がそういう罠にハマった作品というのは、大抵が独り善がりのものになる。主人公を過剰に美化したり、世界観の虚しさに気づかなかったり、愚かであることを可笑しいと勘違いしたり、不快さをドラマティックだと見誤ったり…。

 映画を自分のためだけに撮るというのであれば成立するかもしれない。しかし、作品として世間に発表するものがそれでは、なんとも幼いことではないか。

 もちろん、適当さが駄作を生む場合もあるのだが…。






まとめ

 最近、これまでの人生、一体どれくらい映画を観たのだろうと考える。サイトを始めてからは、年に150本は必ず観ていることを考えると、2,000本は確実。ひょっとすると3,000本も超えているかもしれない。

 非常に多い。多いけれど、これでもこれまで作られた映画の数の中で極僅かだろう。映画をとことん観ても、映画について知らないことはまだある。これからもたっぷり楽しめそうだ。

 最後に、2012年、楽しませてくれた映画にありがとう。





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