BEST10 & WORST10 2012 Vol.2

2012年 WORST10



1. マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 “The Iron Lady”
 監督:フィリダ・ロイド
 出演:メリル・ストリープ、ジム・ブロードベント、オリヴィア・コールマン

 政治家マーガレット・サッチャーをサッチャーたらしめていたものに無視を決め込み、彼女の人間的強さを讃えることに専念。確かに立派だ。立派だが、それは映画的快感と決して呼応しない。次第にサッチャーの認知症そのものが主役になっていく展開にも唖然。哀れみなど、彼女のが最も嫌ったものだろう。「あなたは幸せだった?」という勘違いしたセリフが映画を象徴する。



2. ダーク・シャドウ “Dark Shadows”
 監督:ティム・バートン
 出演:ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、エヴァ・グリーン

 いかにもバートン的な世界観なのに翳りはない。闇は浅い。哀しみは薄い。70年代を言い訳に単純にポップな空気が充満し、しかもそれが装飾するのは、安い感情がベースに敷かれた復讐と、それを跳ね除けようとする一族の刺激に欠けた攻防のみ。道化役を嬉々として演じるデップの不調が、そのままバートンに伝染したかのようだ。おもちゃ箱をひっくり返しても、何も起こらない。



3. ロック・オブ・エイジズ “Rock of Ages”
 監督:アダム・シャンクマン
 出演:ディエゴ・ボネータ、ジュリアン・ハフ、トム・クルーズ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ

 80年代ロサンゼルスの再現が上手く行き過ぎたのか。MTVの台頭がロックミュージックの真髄までも軽薄に見えるとき。色が無秩序にごてごてに氾濫するネオンの中に浮上するのは下品さ。それに気づかないゆえ、映画自体がバカに見える。使い古された設定でボロ雑巾のようになった主人公カップル。斯くして徹底されるバカ。作りが面白いバカだと勘違いしているのが問題だ。



4. 恋愛だけじゃダメかしら? “What to Expect When You're Expecting”
 監督:カーク・ジョーンズ
 出演:キャメロン・ディアス、ジェニファー・ロペス、エリザベス・バンクス、アンナ・ケンドリック

 妊娠絡みの登場人物を多数登場させ、彼らを時折交錯させながら、けれどその一人ひとりの人物を立体的に描くことは放棄、出来事に寄り掛かった酷く当たり前の風景を描写し、欲張りにも一枚の大きな絵を描き出そうという試み。もちろん出演俳優はスターを揃える。ほら、なんだかよく分からないけれど、ゴージャスでしょう?妊娠版「ラブ・アクチュアリー」。怠慢を隠そうともしない脚本が不愉快。



5. 幸せの教室 “Larry Crowne”
 監督:トム・ハンクス
 出演:トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、ブライアン・クランストン

 「善良」であることを責めるのは心苦しい。けれど、映画において「善良」は、よほど注意しないと、絵空事でしかなくなるものだ。ハンクスはその罠にどっぷり浸かる。善良さと現実を擦り合わせる技に乏しく、すると、映画の外観は気持ち良いと言うより、子どもっぽいものになる。笑わせ方もワンパターン。50代半ばの男が大学に戻る画にばかり注目したそれに限られる。嫌味はなくとも、幼い。



6. ジョン・カーター “John Carter”
 監督:アンドリュー・アダムソン
 出演:テイラー・キッチュ、リン・コリンズ、サマンサ・モートン

 「スター・ウォーズ」の偽物のような世界観の中、政略結婚問題を絡めたカビの生えたようなストーリーが展開。古風ではなく古臭いのは、細部の創り込みがチープだから。ゲーム的なアクション描写、モーションキャプチャーによる味気ない宇宙人、役者の魅力不足、無意味な3D…。SFなのに退屈なクラシック映画でも見せられている気分に。21世紀の息遣いがどこにもない。



7. 英雄の証明 “Coriolanus”
 監督:レイフ・ファインズ
 出演:レイフ・ファインズ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ブライアン・コックス、ジェシカ・チャステイン

 独裁的傾向の強い主人公コリオレイナスの不快さを魅せることを恐れない。結構なことだが、それに固執するあまり、凝り固まった見方を強いられるところが多いのはどうか。物語を伝えることに懸命になり、シェイクスピアのセリフを喋る悦びに浸り、シェイクスピア劇独特の自由な解釈を放棄する結果を導く。外観は堅苦しく、中身は柔軟性に欠ける。画面の硬さ、主演男優の力みも気になる。



8. アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち
 監督:サム・レヴィンソン
 出演:エレン・バーキン、ケイト・ボスワース、エレン・バースティン、デミ・ムーア

 問題を抱えた家族の闇に切り込むのではなく、ずっしりと寄り掛かる作り。家族を取り囲むのはモンスターたち。調味料は大袈裟な怒りと泣き。したがって映し出されるのは、感情の全てを爆発させた絶叫の嵐。これだけ大騒ぎしておいて、結局全てを放り出し、観る側に委ねる結末も唖然。「奇人変人博物館」を通り越して、「嫌な人間博物館」の趣。もちろん入場料の価値はない。



9. レ・ミゼラブル “Les Misérables”
 監督:トム・フーパー
 出演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド

 歌声をライヴ録音したおかげで確かに歌と演技は一体化している。しかし、歌の力に寄り掛かるあまり、映画ならではのミュージカル表現がほとんど見当たらないのはどうか。歌から歌へ、そしてまた歌へ。絶唱系パフォーマンスの羅列が重苦しくて、暑苦しくて…。ほんの数秒しかない静寂場面が天国に思える。嘘臭く作り上げられた感動が、大きな顔して画面いっぱいに広がっている。



10. 別離 “Jodaeiye Nader az Simin”
 監督:アスガー・ファルハディ
 出演:レイラ・ハタミ、ペイマン・モアディ、シャハブ・ホセイニ、サレー・バヤト

 頑丈な演出なのに、酷く冷静な気分を誘う。同情心を煽ろうという計算高さが感じられる子どもたちの動かし方。善人同士の「ボタンの掛け違い」として事態を見る視点。被害者意識を過剰に植えつけられた者たちと、そのエゴイズムが生み出す罵声。それゆえの空虚なる空気の震動。作り手の自国への想いが感じられないのもどうか。作為が満ちた物語にげっそり。



その他WORST10選考作品
『グッド・ドクター 禁断のカルテ』『シャーロック・ホームズ/シャドウ ゲーム』『マシンガン・プリーチャー』『セットアップ』『バトルシップ』『恋と愛の測り方』『ケイト・レディが完璧な理由』『ソウル・サーファー』『ハングリー・ラビット』『エクスペンダブルズ2』『ブレイクアウト』『リンカーン 秘密の書』『ダーケストアワー 消滅』





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