LOOPER ルーパー

LOOPER ルーパー “Looper”

監督:ライアン・ジョンソン

出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、
   エミリー・ブラント、ポール・ダノ、ノア・セガン、パイパー・ペラーボ、
   ジェフ・ダニエルス、トレイシー・トムズ、フランク・ブレナン、
   ギャレット・ディラハント、ニック・ゴメス、ピアース・ガニォン

評価:★★★★




 タイムトラベルが可能になった近未来。『LOOPER ルーパー』とは30年後の未来から送られてきた標的を射殺する殺し屋のことだ。報酬は銀で支払われる。ルーパーはガットマンと呼ばれる監視役に見張られていて、ミスは許されない。もし仕事を失敗した場合は、自分の命がなくなる。

 ルーパーである主人公のジョーが生きるのは、かなり創り込まれた特殊な世界だ。ライアン・ジョンソンはジョーに難題を突きつける。未来から送り込まれてきた標的が30年後の自分だった場合、どうするべきか。ヤング・ジョーとオールド・ジョーが顔を付き合わせたとき、画面に電流が走る。あぁ、なんとややこしい設定。

 しかし、ややこしさはさらに深まる。案の定、動揺したヤング・ジョーの任務は失敗する。ここで重要なのはヤング・ジョーとオールド・ジョーが向かう方向が異なっている点だ。ヤング・ジョーはオールド・ジョーを殺して30年間生き延びるか、彼を逃がして組織に命を狙われるか迫られる。オールド・ジョーには別の目的があり、それを遂行しないことには未来がないと信じている。自分を狙うヤング・ジョーを殺しては、自分も死んでしまう状況も難しい。物語が進めば進むほどに人間同士を結びつける糸の結び目が頑丈なものになっていく。

 ジョンソンはややこしい状況を恐れない。場面毎に次々新しい情報を投下する。観る方はそれを拾い上げるのに必死になる。思わず物語を理論で突破するタイプの映画なのではないかと心配するものの、「ミッション:8ミニッツ」(11年)のように頭と心が切り離されるような事態は避けられる。ややこしくなればなるほどに、物語の表情が万華鏡のように変わっていくからだ。

 予想外の方向に転がった物語は、クライマックスで愛のそれへと変貌を遂げる。農場で暮らす母と息子を巻き込み、ヤング・ジョーとオールド・ジョーはそれぞれの愛が試される。愛する女へ向けた愛。息子を想う愛。母を信じる愛。未来に馳せる愛。殺し屋として生きることを選んだ男の決断が、今という時代を映し出す。

 この脚本の最も優れているところは、タイムパラドックスの捌き方、伏線の張り方(画面に違和感を感じたら要注意)もさることながら、ヤング・ジョーとオールド・ジョーに異なる行動をさせながら、その人間性の根っこの部分は同じであることを信じさせる点だろう。人間が人間であるがゆえの、ジョーがジョーであるがゆえの驚きと哀しみと、そして愛が味わいに繋がっている。

 未来描写がさり気ないところも良い。ぎりぎりの現実感を大切に、未来で遊びながら、それがスーッと話に絡んでくる。ジョセフ・ゴードン=レヴィットとブルース・ウィリスが二人一役を演じ、ゴードン=レヴィットの方がウィリスに似せた演技で魅せるのも楽しい。エミリー・ブラントの配役も無駄にされない。残虐描写を見せない工夫がされているのも良い。想像力という名の刺激が画面を妖しく揺さぶる。気がつけば、どうしてオールド・ジョーは覆面を被せられることなくタイムトラベルが可能だったのか、という疑問は気にならなくなっている。

 いや、ひとつだけ疑問は残るか。もし仮に自分がゴードン=レヴィットだった場合、未来から自分が現れ、しかもそれがウィリスだったとしたら…。「俺、そこまでハゲちゃうのかよ!オヤジ全開になるのかよ!」という衝撃に心臓が止まってしまうというのが本当のところだろう。もちろん、こうした突っ込みも計算ずくのはずだ。





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