ラヴァーズ・ダイアリー

ラヴァーズ・ダイアリー “Elles”

監督:マルゴスカ・シュモウスカ

出演:ジュリエット・ビノシュ、アナイス・ドゥムースティエ、
   ヨアンナ・クーリグ、ルイ=ド・ドゥ・ランクザン、クリスティナ・ヤンダ、
   アンジェイ・ヒラ、アリ・マルヤル、フランソワ・シヴィル

評価:★★




 ヒロインは雑誌「ELLE」の記者をしている。援助交際の記事を書くためにふたりの女子大生と接触する。彼女たちの告白を聞くうちに、自らの内に秘めていた欲望と向き合うことになる。「恍惚」(03年)やそのリメイク「クロエ」(09年)を思い出す。どれだけ固く見えても、人間誰しも性欲を抱えている。関係ないと無視を決め込んでも、それは身体の中のどこか知らないところで息を潜めている。

 断るまでもなく、女子大生ふたりが鍵を握る。フランス女優のアナイス・ドムースティエはアメリカ人を思わせる陽の個性があって、あまり官能との相性は良くない。アゴがややご立派めなのもいまいち乗れないところか。ただ、もうひとりのヨアンナ・クーリグは良い。ポーランドからやってきたブロンド美女で、ヨーロッパの、それも東欧的美貌が官能に映える。

 官能には大きく分けてふたつの種類がある。ひとつは灼熱の太陽の下でのむせ返るような官能。もうひとつは空気が冷たいところで燃え上がる体温と密着した官能。クーリグが魅せるのは、もちろん後者だ。パリの暖かくはない部屋の中、クーリグが体温の重要性を感じさせながら行為に耽る。画になる。胸の大きさにはちょいとびっくり。

 尤も、『ラヴァーズ・ダイアリー』は見せ方は巧くない。覗き見風にドキュメンタリー的な撮影法なのは良いとして、白を基調にした画面が面白くない。スタイリッシュと言うか小綺麗と言うか、カッコ良く見せようとして嘘臭い方向に落ちてしまった気配が漂う。目指すべきは、闇ルートに流通しているようなポルノ風の妖しさではなかったか。女子大生ふたりに生活感が感じられず、官能の深度が物足りないのだ。

 記者の生活との対比も効果を上げていない。彼女たちの「仕事」描写と並行して、記者の生活が語られる。炊事洗濯。送り出し。お見舞い。電話。親子関係。夫婦関係。一見幸せな、でも実は満たされていない生活が…取材をきっかけになどしなくても、明らかに機能不全に陥っている。

 しかも、記者を演じるのはジュリエット・ビノシュだ。彼女が官能を刺激されるというのが、なんともまあ、画的に苦しいところだ。自慰場面に驚く。ノーメイクに近い顔で、快楽を表現するビノシュ。生々しさと一緒にせり上がってくるのは恐怖だ。表情が死神みたい。「エクソシスト」(73年)の世界。フィニッシュ後に浮かべる笑みにたじろぐ。何かの罰ゲームか。抜け出せない性の本質は遂に突かれることはなかった。





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