小さな命が呼ぶとき

小さな命が呼ぶとき “Extraordinary Measures”

監督:トム・ヴォーン

出演:ブレンダン・フレイザー、ハリソン・フォード、ケリー・ラッセル、
   メレディス・ドローガー、ディエゴ・ヴェラスケス、サム・H・ホール、
   ジャレッド・ハリス、パトリック・ボーショー、アラン・ラック

評価:★★




 もしも自分の子どもが治療薬のない難病に冒されてしまったらどうするか。多分大抵の親は、その病気について知るところから始めるだろう。続いて何か手立てはないのか死に物狂いで考える。それでも道が見つからなかった場合は天に祈るかもしれない。そして後は限られている子どもとの時間を大切に過ごすのではないか。難病映画の大半もこのパターン。『小さな命が呼ぶとき』の両親は、そこから一歩踏み出す。治療薬がないのであれば、作れば良いではないか。単純にして明快。確かにそうなのだ。ただ、誰にでも薬は作れるわけではなく、そこのところにドラマが生まれていく。なかなか面白い発想だと思う。

 斯くして、予想外にビジネスの話に転がっていくのがポイントだ。全身の筋肉が萎縮してしまうポンペ病という珍しい病気との闘いではなく、それについて最先端の研究を続けている科学者を巻き込んで会社を興す様に焦点が当てられていく。ある意味とことん合理的な展開。お涙頂戴場面も用意されているものの、中盤はほとんどがビジネスの話となるあたり、作り手も家族のドラマではなく、薬の開発に向けて突っ走る男たちのドラマとして話を見ていることは明白。

 誤算だったのは、切り口は面白いのに、ビジネスの話が弾まなかったところだろう。企業が絡むとどうしても金が前面に出た話になるということを差し引いても、堅苦しさばかりが浮上するのが無念を誘う。ポンペ病に対する立場はそれぞれ違っていて、「両親」「科学者」「企業経営者」といった分かりやすい視線が用意されているのに、一向にそれがバランス良く交錯しないのだ。巧くすれば大変ユニークなサスペンスが生まれていたかもしれないのに。

 もうひとつの大きな問題は、科学者をハリソン・フォードが演じてしまったことだろう。「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」(09年)でもそうだったけれど、この人は引き算の演技をするということを知らない。いつでも自分が前に出たいタイプ。フォードが演じるのは、治療薬の完成に向けて執念を燃やす両親をサポートする、言わば重要な「脇役」。それなのに、画面に映る度に自己主張の強いスター演技になっているのが暑苦しくて敵わない。そのせいで「変人科学者が治療薬を開発するまで」という脇筋が必要以上に強くなってしまった。救いがあるとすれば、科学者の傲慢さを恐れずに描き出していたことだけれど、うーん、やっぱり腑に落ちない。

 ちなみに、両親を演じるブレンダン・フレイザー(主人公は彼だ)とケリー・ラッセルは分をわきまえた演技をしている。ファニーフェイスを静かにユーモラスに操る抑えた演技のフレイザー、ダイアン・レイン風に一歩引いた具合が好もしいラッセル。ふたりが出てくると、画面が穏やかになり、深刻な物語の清涼剤的効果を出していた。





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