パンクチュア 合衆国の陰謀

パンクチュア 合衆国の陰謀 “Puncture”

監督:アダム・カッセン、マーク・カッセン

出演:クリス・エヴァンス、マーク・カッセン、マーシャル・ベル、
   ブレット・カレン、ジェシー・L・マーティン、ヴィネッサ・ショウ、
   ロクサンナ・ホープ、マイケル・ビーン、ケイト・バートン

評価:★★




 新型の注射器をめぐる訴訟が取り上げられる。アメリカでは注射器による医療事故が年間80万件を超えるのだという。そこで事故を防ぐ優秀な注射器が作られたのだが、病院はどこもかしこもそれを使おうとしない。GPO(共同購入組織)が全米医療機器供給会と繋がっていることが原因だ。『パンクチュア 合衆国の陰謀』は注射器独占使用の実態を炙り出す。志高く。

 志の高さはしかし、映画ではあまり有効に働かない。医療機関側との駆け引きが非常に真面目に描かれる。からくりは見えてくる。金をめぐる汚さも露わになる。そしてもちろん、医療機関側の弁護士は嫌な奴だ。大人の事情を考慮してくれと言う。でも、それに屈することはない。主人公チームは実に真面目な仕事への取り組みを見せる。

 だからというわけでもないだろうけれど(映画は実話を基にしている)、主人公の弁護士にクセをつけている。髭面にするとベン・アフレック風のクリス・エヴァンスは、法廷に柿色のシャツとサスペンダーをつけたチノパン、或いは露店で購入したタキシードで来るような男。全身タトゥーだらけで、ドラッグにも溺れている。なぜか筋骨隆々で、女遊びもお盛んだ。トリップしながら薬物仲間と弁護の練習をする画は笑えるけれど、可笑しいのはそれぐらいか。

 序盤は薬漬け弁護士が仕事に関しては案外真面目に取り組んでいる様を見せられるだけだったのが(もちろん退屈を誘う)、中盤ぐらいから物語が変態を見せ始める。敵の泣き所は早々に判明し、「主人公が正義を貫けるのか」という物語にすり替わってしまうのだ。事務所の貧窮と主人公の薬に浸かった身体が正義と衝突する。衝突は結構だけれど、注射針訴訟に絡んだサスペンスが熱を失うのはどうか。

 ゆえに後半の見せ場は、薬断ちを誓った主人公に禁断症状が表れる描写となる。常に苛立ち、視界はぼやける。判断力は鈍り、業務を軽快にはこなせない。終いには病院に担ぎ込まれる羽目になる。それでも山を越えようとする主人公。実在の人物への敬意が煩い。

 結末には実話物の難しさが漂う。主人公にどうして相棒が置かれているのかが、ようやく腑に落ちる。消えかかっていた正義の明かりが、ある出来事をきっかけに再び灯る。そして同時に、社会の闇が果てしなく広がっていく。事実ゆえにこれ以外のまとめは考えられなかったのかもしれないと承知しつつ、後味の悪さしか残らない。もっと映画的カタルシスを狙っても良かったのではないか。映画表現の幅が狭いのだ。





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