ふたりのパラダイス

ふたりのパラダイス “Wanderlust”

監督:デヴィッド・ウェイン

出演:ポール・ラッド、ジェニファー・アニストン、ジャスティン・セロー、
   アラン・アルダ、マリン・アッカーマン、ケン・マリノ、
   ジョン・ルー・トゥルーグリオ、キャスリン・ハーン、レイ・リオッタ

評価:★★




 夫が仕事をクビになったのをきっかけに、ヒッピーのコミュニティで暮らし始める都会のカップルの物語。…と聞くと、安易な都会・文明批判、或いは大々的な田舎・自然賛美を掲げる内容になるのではないかと心配になる。映画ではやたら田舎が崇められるからだ。『ふたりのパラダイス』はその罠にハマらない。と言うか、コミュニティはそういう尺度で語ることのできる場所ではないのだ。

 エリジウムという名のコミュニティの、その突飛なライフスタイルを笑いながら、けれど非難の方向には向かわない。ハッパでハイになり、素っ裸で男がうろつき、用を足すときもプライヴェートはなく、寝室には突然馬が顔を出す。拍手の代わりだと、指を擦り合わせるのが可笑しく、可愛らしい。生活全部がギャグになっているとも言える。

 コミュニティを肯定も否定もしない姿勢を保つことができたのは、主人公夫妻の新生活への溶け込むスピードに差をつけたからだ。最初は夫の方が乗り気だったのに、妻の方がアッという間に新しい日常に馴染んでしまう。当然夫は妻の変化に戸惑う。この部分を笑い飛ばしているがゆえ、コミュニティのジャッジは避けられる(と言っても、コミュニティに入りたいとは絶対に思っていないのが笑える)。

 すなわち、観る側は宙ぶらりんの状態に置かれる。果たしてこの状況をどう見つめれば良いのか、不安定な立場に置かれる。これは欠点ではない。面白いところだ。心を宙ぶらりんにされたまま事態を目撃することしかできず、夫を応援し、妻に共感し、どちらに行きたいのか悩んでいるうちに、迷子になる。ゆえに「現実から目を背けていないか」という言葉にドキリとする。

 だから終盤、コミュニティの膿を浮かび上がらせるのには落胆した。別にコミュティの否定に走っているのではないものの、宙ぶらりんのバランスが崩れてしまった気がして…。誰が良くて誰が悪いというところに持っていくのは、ここでは野暮だと思うのだ。

 エピソードを切り上げるタイミングが大抵の映画より早いのが、物語をドキュメンタリー的に見せるユニークな効果を上げている。アクション映画でもないのに、急ぎ足で、畳み掛けるように編集されている。リアリティショウでも目撃しているような現実感が、題材に合っている。

 「私の愛情の対象」」(98年)以来の共演となるポール・ラッドとジェニファー・アニストンのカップルぶりに無理がない。特にラッドが可笑しい。コミュニティに溶け込もうと卑猥な言葉を並べ立てるシーン。すっかり喜劇の専門家のようになったラッド。いつの間にか下ネタを軽く使いこなす技も身に着けているのだった。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ