シェフ! 三ツ星レストランの舞台裏へようこそ

シェフ! 三ツ星レストランの舞台裏へようこそ “Comme un chef”

監督:ダニエル・コーエン

出演:ジャン・レノ、ミカエル・ユーン、ラファエル・アゴゲ、
   ジュリアン・ボワッスリエ、サロメ・ステヴナン

評価:★★★




 一度だけで良い。一流レストランで食事をしてみれば分かる。牛丼一筋300年のキン肉マンの舌をもとろけさせるのがフランス料理の底力だ。気取っていて、堅苦しくて、そのくせ量が少なくて、俺には性に合わないんだー…なんて気取らないことを気取っている輩は損をしている(いや、牛丼も大好きなんだけどサ)。『シェフ! 三ツ星レストランの舞台裏へようこそ』は邦題通り、最高級レストランの裏側が描かれる。

 レストラン映画はずるい。料理が美味く見えたら、それで満足してしまうところがある。香りまで匂ってきたら、なお良い。もちろんフランス料理はたっぷり登場する。横文字だらけでしゃらくさいところには目を瞑る。美味いのだから、客が美味そうに食べているのだから、それで良いじゃないか。もっと料理を眺めていたい…という満腹寸前で切り上げられるリズムが賢い。空腹は最大の調味料。

 料理は物語の単純さを隠す。春の新作メニューが思い浮かばない伝説のシェフと、腕は確かなのにプライドが邪魔をして仕事が続かない料理人の話。彼らが三ツ星の維持と愛の獲得に奮闘する様が、意外性ゼロで描かれる。料理の「り」の字も知らないオーナー側との対立も、全てが予定調和だ。

 それでもほとんど腹が立たないのは、主役ふたりの抱える問題への踏み込み加減に節度があるからだ。これ以上深入りすると重苦しくなる一歩手前で、軽やかに踏み止まる。コメディのバランスが優れている。料理に携わる者のエゴ。料理に賭けるプライド。星に踊らされる滑稽さ。いずれも適度な火の通し具合だ。三ツ星と二ツ星ではどのくらいの差があるのかを説明できていたら、さらに笑顔が増えたかもしれない。

 協調性のない料理人を演じるミカエル・ユーンは顔が北村一輝並のくどさで、デフォルトがシリアスなのが難(鼻が立派過ぎるのか)。睫毛の量が異様に多く(上も下もびっしり)、アイラインを引いているみたい。日本人の審美眼で言うと、ちょっと気持ち悪いかもしれない。一方、カリスマシェフ役のジャン・レノは見事なキャスティングだ。顔が横に広がってきて、魔法使い度が弱くなった。喜劇を演じるのに適している。ひょっとして例のCMのドラえもん役が転機じゃないだろうな。

 レノとユーンが日本人に扮する件には、日本人じゃなくても腰を抜かすだろう。レノはチョンマゲ侍、ユーンはおしろい芸者に扮する。ノグチ夫妻だと名乗る。この世に地獄があることを思い知らされる。もちろん怒るべきではない。不快に思うべきでもない。日本のとんでも解釈で得意気になっているフランス人でも、一流の料理は作ることができるのだ。勇気が沸いてくるではないか。素直に呆れていれば、それで良い。





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