フランケンウィニー

フランケンウィニー “Frankenweenie”

監督:ティム・バートン

声の出演:チャーリー・ターハン、ウィノナ・ライダー、マーティン・ショート、
   キャサリン・オハラ、マーティン・ランドー、アッティカス・シェイファー、
   ロバート・カプロン、ジェームズ・ヒロユキ・リャオ、クリストファー・リー

評価:★★★




 ティム・バートンは「アリス・イン・ワンダーランド」(10年)「ダーク・シャドウ」(12年)と立て続けに失敗を犯した。だから、自身の同タイトルの短編実写映画(84年)を最新技術を駆使したアニメーション映画として作り直すという試みは良いと思う。自分を取り戻すという意味で。

 前二作を見れば分かるように、独特の毒気に彩られたバートン・ワールドは、その底に「生きる哀しみ」が敷かれないと、びっくり箱をひっくり返しただけの空騒ぎに終わってしまう。バートンもそれに気づいたのか、『フランケンウィニー』では過ちを繰り返さない。愛犬スパーキーを事故で亡くした少年ヴィクターが、雷を使った実験によりスパーキーを蘇らせる。画面の隅々まで、暗くて恐ろしくて哀しくて、でも美しくもある人生観が感じられる。

 そこに往年の怪奇映画、怪物映画のエッセンスが注がれるあたりは、その映画愛に嬉しくなる。ヴィクターが屋根裏部屋で行う実験の風景からは「マッド・サイエンティスト」なんて言葉を思い出すし、ヴィクターの同級生たちが次々死んだ生物を蘇らせてしまう流れも捻りが利いている(怪獣まで出てくるのは、やや暴走が過ぎる)。クライマックスで風車小屋が出てくる件は、おそらく映画ファンが最も興奮するポイントではないか。

 スパーキーを始めとするペットたちの復活騒動が描かれる過程に、科学への向き合い方だとか頭と心のバランスのとり方だとか、バートンの優しい想いが浮上する。映画という最先端技術が必要とされる芸術へ、バートンがどんな態度で挑んでいるかが、見えてくるようだ。ストップモーション・アニメーションをモノクロで描き出し、なおかつ3D映像にするという試みの中にも、アナログ時代の心地良さを敢えて残しているように見受けられる箇所がある。

 最もユニークなキャラクターはもちろん、スパーキーだ。太い大根やサツマイモを思わせる体型。継ぎ接ぎだらけの皮膚。首もとのネジ。振り過ぎると外れてしまう尻尾。水を飲めば漏れ出し、ハエを飲み込めば身体の隙間から飛び出してくる。何よりヴィクターへの懐き方が可愛らしい。ストップモーションの良さがたっぷり感じられる動きもユニークだ。ヴィクターがバートンの分身であることは簡単に想像がつく。バートンの喜んでいる顔が見える。

 人間キャラクターではヴィクターに科学コンテストで組むことを持ちかけるエドガー少年の創り込みが秀逸。背中の丸まり具合、内股気味の脚。蜘蛛のように細い手足。不気味なすきっ歯。「ノートルダムのせむし男」を思い出す。ネコの糞を使って占いをする少女も面白い。老婆にも見える顔立ちとぶっ飛んだ言動で、画面にアクセントを添えている。

 家を飛び出して迷子になったスパーキーが、自分の墓の前に座り込む画に胸を揺さぶられる。生きることと死ぬことについて感じ入る。今のスパーキーは生きているのだろうか、死んでいるのだろうか。ある意味、死よりも切ないシチュエーションに置かれていることを語り掛ける。





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