ディア・ダディ 嘘つき父さんの秘密

ディア・ダディ 嘘つき父さんの秘密 “World's Greatest Dad”

監督:ボブキャット・ゴールドスウェイト

出演:ロビン・ウィリアムス、アレクシー・ギルモア、ダリル・サヴァラ、
   ヘンリー・シモンズ、ジェフ・ピアソン、ブルース・ホーンズビー

評価:★★★




 『ディア・ダディ 嘘つき父さんの秘密』は孤独な死を何より恐れる男の物語。男は高校で「詩」のクラスを受け持ちながら、作家になる夢を叶えるべく、小説を書き続けている。問題行動が多く学校の嫌われ者である息子との関係を綴った前半は、もうひとつ面白くない。「音楽好きは皆ゲイだ」なんてセリフを口にする息子やなかなか近づかない夢に苦しむ男の姿が、静かに淡々と描かれる。退屈な詩でも詠んでいるようだ。

 ところが、息子が突然死んでしまうところから捻りが効いてくる。物語のトーンは変わらないままに、話に潜んでいた皮肉や哀しみが急激に主張し始める。笑いを伴いながら。何しろ息子の死因というのが、窒息プレイをしながらの自慰行為をしたがゆえ、というのだ。男は息子の死を首吊り自殺に装う。自慰が原因の事故死よりはマシだ。

 思いがけないことに、これが男の周辺を賑やかなものにしていくのが可笑しい。遺書として自ら書いたそれが共感を呼び、息子は死してカリスマ的な人気を獲得していくのだ。Tシャツや缶バッジが作られ、形見を欲しいという者が現れ、タトゥーが流行り、名を冠した図書館まで作られる。

 そう、男は息子のゴーストライターとして人気者になる。遺書の内容というのが、ヒップホップ系アーティストが歌いそうなフレーズになっているのに笑う。周りの人間はそれに群がる。ここで鋭いのは、「死」というものが醸し出す抗い難い魅力だ。生きていては無視されることでも、途端に神聖化され、時に極めて強力な吸引力を持つことがある。それにあっさり乗っかる人間の愚かさも見逃されない。

 男は充実感を得る。しかし、同時に空虚感も得る。望んでいた作品の評価。でもそれは嘘に塗り固められたものだ。仕事も夢も私生活も充実していく一方で、心の穴はどんどん広がっていく。そのあたりのおかしみがとても繊細に浮上している。

 ロビン・ウィリアムスの抑えた演技が素晴らしい。この人はスラップスティックな笑いに塗れた道化役よりも、人間の狡猾さを具えた役柄の方が断然ハマる。テレビのトークショーに出演した際の、泣いているんだか笑っているんだか分からない表情が目に焼きつく。





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