恋愛だけじゃダメかしら?

恋愛だけじゃダメかしら? “What to Expect When You're Expecting”

監督:カーク・ジョーンズ

出演:キャメロン・ディアス、ジェニファー・ロペス、エリザベス・バンクス、
   アンナ・ケンドリック、ブルックリン・デッカー、マシュー・モリソン、
   ロドリゴ・サントロ、クリス・ロック、ベン・ファルコン、
   チェイス・クロフォード、デニス・クエイド、ジョー・マンガニエロ、
   レベル・ウィルソン、トーマス・レノン

評価:★




 五組のカップルが登場するアンサンブル劇。テーマはズバリ「妊娠」だ。男と女が出会い、求め合い、そして新しい命を授かる。神秘的にも思える一連の流れだから、当然ドラマもたっぷり生まれるだろう。問題はこれを「ラブ・アクチュアリー」(03年)だとか「バレンタインデー」(10年)だとか「ニューイヤーズ・イブ」(11年)だとかと同じノリで描いてしまった点だ。

 すなわちテーマに関係する出来事の周辺人物たちを多数登場させ、彼らを時折交錯させながら、けれどその一人ひとりの人物を立体的に描くことは放棄し、出来事に寄り掛かった酷く当たり前の風景を描写し、欲張りにも一枚の大きな絵を描き出そうという試みがなされる。もちろん出演俳優はスターを揃える。ほら、なんだかよく分からないけれど、ゴージャスでしょう?

 妊娠にまつわる様々なシチュエーションを用意することで得意気になっている作り手の顔が浮かんでくるところが、苛立たしい。ラテン系やアフリカ系を登場させ、年齢も若いのから出産ぎりぎりの者まで揃え、歳の差カップルも放り込む。妊娠パターンも思いがけずできてしまったり、不妊治療の末の授かりものだったり、養子を迎えることにしたり…とあからさまに作為的。流産するカップルまで出てくるところに、作り手の無神経さが見える。そういう映画じゃ、ないだろうよ。

 そうした大変軽々しい描写の数々の底に、「人の親になってこそ一人前」という価値観がちらつくのが気持ち悪くて不愉快で…。言い換えると、「人の親にならなければ失格」という匂いが漂う。実に愚かしい。欧米では恋人がいない者、配偶者がいない者は敗者として見なされる風潮が見受けられるけれど、それに通じる底の浅い人間観だ。

 女優上位の配役の中で、身体を張った演技を見せるのはエリザベス・バンクスだ。妊娠によりホルモンバランスが崩れたことで、体調がつわり以上におかしくなる。怒りっぽくなるわ、歩きながらちびるわ、人前で放屁するわ…。出産場面での形相がとんでもなく怖くて、あぁ、これは捨て身と言って良いかもしれない。

 可愛らしさがベストだったのは、男優も加えたらチェイス・クロフォードだったというのは別にすれば、バンクスが経営する赤ちゃんグッズ店で働く女性を演じたレベル・ウィルソンだろう。はっきりとデブ。でも何物にも変え難い愛敬を具えたデブだ。コメディのタイミングも素晴らしく、彼女のおかげで下ネタも随分風通しが良くなった。同じデブ女優だとメリッサ・マッカーシーのブレイクが記憶に新しいけれど、ウィルソンの方がフェミニンな味があって魅力的だと思う。

 どうしてこんな邦題になったのか全く理解できない『恋愛だけじゃダメかしら?』は、実はオープニングでその出来映えが知れる。マシュー・モリソンと一緒にダンスをパフォーマンスするキャメロン・ディアスを、細かいカット割りでズタズタに切り裂いているのだ。せっかくディアスが身体を見せびらかすようにビキニタイプの衣装で奮闘しているのに!掴みの見せ場なのに、ディアスが筋肉質であることしか分からない。細部の配慮が欠けているのだ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ