ケース39

ケース39 “Case 39”

監督:クリスティアン・アルヴァルト

出演:レニー・ゼルウィガー、ジョデル・フェルランド、
   ブラッドリー・クーパー、イアン・マクシェーン、ケリー・オマリー、
   カラム・キース・レニー、エイドリアン・レスター、ジョージア・クレイグ、
   シンシア・スティーヴンソン、ティファニー・ナイト

評価:★★




 子どもが残虐な行為に走り大人を苦しめる物語は、「オーメン」(76年)の例を挙げるまでもなく、これまでに何度も語られてきた。パッと思いつくだけでも「ジョシュア 悪を呼ぶ少年」(07年)や「エスター」(09年)が公開されたばかりだし、「オーメン」は2006年にリメイク版も作られている。愛らしく純真無垢で平和の象徴のような幼い命に牙を剥かれるのは、大人たちにとってそれだけ耐え難い恐怖なのだと思われる。同じ系列に置いて良い『ケース39』は、社会派の要素を絡めたところがミソ…になるはずだったのだけど、あっさり非現実的世界に逃げてしまうあたり、根性が足りないと言えるだろう。

 真面目で心優しい社会福祉士の手により救われた少女が悪魔的行為に走る。少女は社会問題になっている虐待を両親から受けていたという設定で、哀れに思われるところから始まりながら、徐々に裏の顔を見せていくことになる。虐待を根底に置いた恐ろしい話なのかと思いきや、行為の数々が視覚効果を投入した超常現象的な方向に向かってしまい、それがエスカレートすればするほどに、話が平凡なところに近づいていくのが残念無念。だって少女は不思議なパワーを持っているのだ。そりゃ大人でも歯が立たないに決まっている。人の最も突かれたくないところを見抜き、いやらしい行為を連発。恐怖というより不快さが前面に出てきた後に、結局その正体は何なのかともやもやしたものだけが残ることになる。

 少女の行為のベースには愛情を独占したいという気持ちがあることが示唆されるものの、そうせずにはいられない理由に関しては全く触れられないため、ただ白々しいだけ。クライマックスの対決場面なんかは、虐待を絡ませているのに関わらず、酷く無神経に思える。いや、気持ちは良く分かるのだけど。おそらく同じ状況に置かれたら、そうせざるを得ないんだけど。作中ある人物が「犯罪者は怪物ではない」というセリフを口にする。それをもっと意識した作りになっていたら、随分違う印象の、それこそ社会派ホラーと呼ぶに相応しい手応えが浮上したのではないか。

 それにしても…レニー・ゼルウィガーはホラー映画向きではない。ヒット映画に主演する大スターになっても、全く垢抜けないという極めて珍しいキャリアを積んでいるゼルウィガーは、その確かな演技力により「素朴な女」のイメージを強固なものにしている女優だ(実は誰よりも野心満々だということは、既に見抜かれているけど)。少女のように赤い頬を持ったおたふく顔だから、全体のムードはいたってほのぼの。コメディには向いているその温か味のある容姿が、ホラーの中では浮いてしまうのだ。緊張感を許さない平和な顔と言うか何と言うか。

 美女が綺麗な顔を歪めながら泣き叫ぶのを眺めるのは、ホラー映画の醍醐味のひとつだけれど、ゼルウィガーが恐怖に慄き絶叫しても、もうひとつ魅せられない。いや、すごくリアルではあるのだけれど、うーん…。実はTVシリーズ「24」のメアリー・リン・ライスカブと同じグループに入る顔だから、仕方がない。





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