007/スカイフォール

007/スカイフォール “Skyfall”

監督:サム・メンデス

出演:ダニエル・クレイグ、ジュディ・デンチ、ハヴィエル・バルデム、
   レイフ・ファインズ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、
   ベレニス・マーロウ、アルバート・フィニー、ロリー・キニア、
   オーラ・ラパス、ヘレン・マクローリー、ニコラス・ウッドソン

評価:★★★




 昨今映画界でよく聞かれるのが「リブート」という言葉。「リメイク」とは違う。人気シリーズに新たな血を投入して生まれ変わらせる。まあ、簡単に言えば、発想を変えた作り直しだ。スパイダーマンもバットマンもリブートされた。今度はスーパーマンがリブートされる。しかし、よくよく考えてみると、リブートが始まったのは最近のことではない。「007」シリーズこそ、リブートが生んだ長寿シリーズではないか。ジェームズ・ボンドを演じる役者が代わる度、シリーズが表情を変えてきた。

 中でも『007/スカイフォール』で三度目の登板となるダニエル・クレイグの抜擢は新鮮だった。スマートに任務をこなす歴代ボンドたちと決定的に違うのは、肉体から滲み出る野性味。顔からも肉体からも荒削りな空気を発散し、しかしそこに動きがつくと、確かにそこにはボンドの姿が見える。

 中でも瞬発力が素晴らしい。静の場面から動の場面へと切り替わるときの素早さに唸る。常温の水が僅か一秒後に沸点に到達するような勢いで肉体が動く。何と言うか、頭ではなく身体で物事を考えているような、そして判断を下しているような、本能的な動きに真実味が宿っている。「カジノ・ロワイヤル」(06年)のときより疲れを滲ませるようになり、でもそれもまた味方につけている。当然アクションのヴァリエーションは増える。

 オープニングからいきなりアクションはトップギアに入る。瓦屋根の上でのバイクチェイス。列車の上での肉弾戦。ショベルカーまで登場する。もちろん同じアクションは繰り返されない。そのままアデルが手掛けるテーマソング「Skyfall」へと雪崩れ込んでいくのが美しい。この場面の些細な不満は、トム・フォードのスーツが淡いグレイで、やや重みに欠けるところぐらいだ。その後も混雑する地下鉄、エスカレーター、エレヴェーター、氷上等舞台を捻ったり、消火器、オオトカゲ、ネオン等のアイテムを塗したり、アイデアが途切れない。特に高層ビルで戦う際、影絵のように映し出されるショットに身を乗り出す。

 ボンドの上司Mの存在が大きく取り上げられているのは、見逃せない試みだ。ボンドのMへの、そしてMI6への忠誠心が物語の軸に置かれ、そのためMが精神的にも肉体的にも窮地に陥る。ジュディ・デンチがいつも以上に険しい表情を見せる。時折艶かしくもある。正義を語りもする。そう、彼女こそが今回のボンドガールだ。作中、最も心に残るセリフは、クライマックス、Mが口にする。その後の言葉を想像し、ボンドファンはグッと胸を掴まれるだろう。

 悪役も素晴らしい。ハヴィエル・バルデムが、Mに恨みを持つ元エージェントとして登場する。金髪に染めたバルデムが、爬虫類のような掴み所のない気味悪さを前面に押し出す。手足を縛られたボンドに近づくときの言葉攻めが楽しい。初めて顔を見せるとき、カメラを寄らせることなく、自分からカメラに寄ってくる流れも効果的だ。もう一人のボンドとしての機能を失わない。

 変わらないで欲しいところは守られている。シリーズのファン向けのトリヴィアルなネタも仕込まれている。ラストシーンはボンドが新しいステージに向かうことを予感させるものになっている。手掛けたのは意外や、サム・メンデスだ。おそらくアクションをかなり研究してシリーズに挑んでいる。長過ぎる嫌いはある。それでもボンドの血を入れ替える勝負には勝利している。新しい血はボンドの宇宙をさらに深める可能性を秘めている。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ