HICK ルリ13歳の旅

HICK ルリ13歳の旅 “Hick”

監督:デリック・マルティーニ

出演:クロエ・グレース・モレッツ、エディ・レッドメイン、
   レイ・マッキノン、ロリー・カルキン、ジュリエット・ルイス、
   ブレイク・ライヴリー、アレック・ボールドウィン

評価:★




 全く、これだから油断できない。クロエ・グレース・モレッツのことだ。しなやかに伸びた手足。輝くブロンド。ぐにゃぐにゃに動くぽってり唇。スニーカーがボロでも、レインボーカラーのパンツを履いても、安服に袖を通しても、あら不思議、被写体として眩しいったらない。出てきた頃は子どもでしかなかったのに、ティーンエイジャーにして、時に艶かしい。

 恐ろしいのは、まだまだ若いブレイク・ライヴリーがモレッツと並ぶと、オバチャンに見えてしまうことだ。化粧のせいもあるだろうけれど、それにしてもこの鮮度の差は何なのだ。白い肌の張りに、まだ世界を知らない魂の純粋さが宿る。作り手が露出過多気味の腕や脚を舐めるように撮るのも無理はない。決して美少女ではないし、怒り肩の主張が強過ぎるんだけどさ…。

 『HICK ルリ13歳の旅』はそのモレッツを主演に迎えた青春ドラマだ。ただし、十代のきらめきだとか残酷さだとか、青春の奥底なんてものはちっとも探られない。少女が世界に直面し、現実を知り、大人の階段をひとつ上がる…という話にしたいようだけれど、旅の途中で出会う者たちの中に、誰一人興味深い人物がいない。ただ、不快さを煽るばかり。

 中でもエディ・レッドメイン演じるカウボーイハットの青年が酷い。最初こそ硝子のハートを持った男かと身を乗り出すものの、その後露になり強調されるのは、そのサイコな本性だ。暴力的で、支配的。怒りをコントロールできず、対象を躊躇うことなく傷つける。

 当然モレッツもそれを察知する。この人は危険だ。傍にいたら危ない。ところが彼女、どこかで惹かれるものも感じるようで、彼から逃げ出しては、いつの間にか元の場所に戻っている。この愚かさを13歳という年齢のせいだと片づけるのは、乱暴で下品だ。ストーリーが支離滅裂にしか見えないのは、青年との関係が物語の軸に置かれているから。尤も、レッドメインの演技そのものは悪くない。むしろ優れている。

 クライマックスには呆れた。手足を縛られて監禁されるモレッツ。救出に向かうライヴリー。いよいよ暴力を暴走させるレッドメイン。三人の運命が酷く粗雑に交錯、そして決着を迎える。おそらく撮りたかったのはモレッツが銃を構えるショットだ。確かにキマってはいる。けれど冷めた目でしか眺められない。いくら画が良くても、その空虚さは簡単に隠せるものではないのだ。





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