ドリームハウス

ドリームハウス “Dream House”

監督:ジム・シェリダン

出演:ダニエル・クレイグ、レイチェル・ワイズ、ナオミ・ワッツ、
   マートン・ソーカス、イライアス・コティーズ、ジェーン・アレクサンダー、
   テイラー・ギア、クレア・アスティン・ギア、レイチェル・フォックス、
   サラ・ガドン、グレゴリー・スミス

評価:★★




 郊外のある邸宅に家族が越してくる。一流出版社の敏腕編集者だった夫は会社を辞める。作家になり、妻とふたりの娘との時間を増やすためだ。しかし、そこは数年前、主だった男が一家惨殺事件を起こした家だった。斯くして新生活を始めた家族の周りでは不可解な出来事が起こり始める…。

 …とザッと導入部を書いたわけだけれど、このどこにでも転がっていそうな設定の映画に、なぜ一流映画人が揃っているのだろうと不思議に思う。監督は家族映画の秀作で有名なジム・シェリダン。主要キャストにはイメージを一新したジェームズ・ボンド役で快進撃を続けるダニエル・クレイグに、歳を重ねて艶っぽさを増すレイチェル・ワイズ。細い身体から強さとエロスを滲ませるナオミ・ワッツまで出てくる。ホントなぜ。B級俳優か若手スターが手掛けるのが相応しいのではないか。その疑問に対する答えは中盤に判明する。

 『ドリームハウス』はある事実が明らかになる前と後では表情がまるで違う。前半は一家惨殺事件に関係あると思われる怪現象により怖がらせる正統派ホラーの趣。後半は過去に囚われ、前にも後ろにも進めなくなってしまった者の哀しみのドラマ。一流どころが惹かれたのは、当然後半部だろう。

 ところが、これがもうひとつ上手く伝わらない。現実的な空間描写と映画ならではの空間描写が全く溶け合っていないため、場面毎に異なる映画を見せられている印象がずっと続くのだ。おそらく真相自体が安っぽさから逃れられていないこと、不敵さを具えたトリッキーな見せ方がそれに馴染んでいないことが関係している。チープで、そしてこけおどし的。切り替わりが粗雑。

 ところが困ったことに、だからと言ってばっさり斬り捨てるには惜しいポイントがある。作品が抱える最も大きな哀しみが、演者の好演もあり、なかなかに迫力があるのだ。それでも自分は歩き続けねばならない、生きる苦しみ。怖がらせる方に逃げることなく、こちらをじっくり見つめた方が面白かったのではないか。

 だってそもそもシェリダンはホラー演出にはほとんど興味がないように見える。怪しい物音。不気味な人影。まずは子どもが気づき、続いて大人が確信に至る。照明もいかにも妖しい光度だ。ホラーならばこう来るだろうという演出の基本が守られるだけで、特別なやる気は感じられない。まあ、その分ドラマに力を入れるならば、邸宅の装飾をもっと温度を感じさせるものにするべきだっただろう。ささやかな幸せを表現したかったのだとしても。

 クレイグが父親の表情を見せるあたりは、なかなか新鮮だ。最近のタフなイメージから離れて、娘たちに惜しみない愛情を注ぐ画にホッとする。配役は間違っていないのだ。





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