君のいないサマーデイズ

君のいないサマーデイズ “Les petits mouchoirs”

監督:ギョーム・カネ

出演:フランソワ・クリュゼ、マリオン・コティヤール、ブノワ・マジメル、
   ジル・ルルーシュ、ジャン・デュジャルダン、ロラン・ラフィット、
   ヴァレリー・ボネトン、パルカル・アルビロ、アンヌ・マリヴァン

評価:★★★




 「唇を閉ざせ」(06年)では骨格の太いミステリーを堂々たる風格を持って描き出したギョーム・カネだけれど、『君のいないサマーデイズ』では力を抜いて映画で遊んでいる。おそらく出演しているのは気心の知れた仲間たちばかりなのだろう。彼らと一緒に映画の世界で戯れている印象だ。サマーシーズン、一人が大事故に遭って躊躇うものの、恒例のバカンスに出かける友人たちを描く。

 力を抜いてと言っても、別に怠けているわけではもちろんない。これだけ登場人物が多いのに混乱を巧妙に避けるところに技がキラリ。最初こそ戸惑うものの、いつしか出し入れの巧さのおかげで、人間関係が霧が晴れるようにくっきり見えてくる。ボルドー近郊のリゾート地カップ・フェレ、画面に涼しげな風を吹かせたのも大きな功績だろう。「再会の時」(83年)「インディアン・サマー タマクワの英雄たち」(93年)といった同系列の映画同様、苦味ある時間が流れるのも、この手の物語のお約束とは言え味わい深い。

 バカ騒ぎしても、アメリカのように能天気にはならないのはフランスらしい。いや、彼らもハメを外す。日頃の緊張から解放されて、愚かな行動にも走る。それでも冷静さが見え隠れする。浴びるように飲むのがビールではなくて、必ずワインなのが可笑しい。気取ってるようで、でもおフランスはこうでなくては。

 フランスを代表する俳優たちが次々顔を見せる中(彼らもカネと同様、映画の中で遊んでいる)、スター性が抜きん出ているのはやっぱり、マリオン・コティヤールとブノワ・マジメルだろう。コティヤールの眩しげな眼もマジメルの品のある顔の造形もたっぷり眺められる。コティヤールはカネの私生活のパートナー。納得する。

 しかし、カネが最も力を入れて演出しているのはフランソワ・クリュゼだ。「唇を閉ざせ」でも主演していたクリュゼこそが、カネのお気に入り俳優らしい。ここではレストランを経営する金持ちとして、誰もよりも目立っている。常にイライラし、マジメルからは告白され、イタチの音に機嫌を損ね、仲間たちの間に不協和音を生じさせる。笑ったのがサッカーに興じる場面。マジメルの視線ということで、容姿にも運動能力にもさほど恵まれていないクリュゼのプレイにスローモーションが入る。そうそう、見たくもない生尻までサーヴィスしていた。

 バカンスの最中にそれぞれの悩みが浮上する。カネの目的はしかし、悩みそのものにはない。彼らの息遣いを通して、生きることそのものの素晴らしさを見つめている。仲間の一人が事故に遭うことでより見えやすくなっているものの、そうでなかったとしても感触は変わらないはずだ。

 欲を言うなら、ギャスパー・ウリエルだとかリュディヴイーヌ・サニエだとか、もう一世代ぐらい下の俳優も投入してくれていたら、なお嬉しい気分になっただろう。それから仲間の一人を置き去りにしてのバカンスという点を気にする者がほとんどいなかったのは引っ掛かった。結末も感傷が過ぎるかもしれない。





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