思い出

 今年の2月、名古屋の映画ファンにはお馴染み、ゴールド劇場・シルバー劇場が閉館した。映画を映画館で観るようになってから20年以上経っている。その間、お世話になった映画館が次々消えていった。その度に寂しい気持ちになったことを思い出す。20年前から残っている映画館は僅かになった。あぁ、時は流れている。

 30代半ばになり、最近思い出せないことが多くなってきた気がするのだけれど、それでも、どの映画をどの映画館で観たのかということについては、結構覚えている。もちろん全部ではない。ただ、心の片隅に残っている記憶は確かに存在する。いつかは忘れてしまうかもしれない。覚えている今の内に、少しだけでも文字に残しておこう。



 グランド1。名駅の映画館の中でも王様の風格があった劇場。ここでかかる映画は間違いなくメジャー大作だった。携帯電話を忘れるという失態をやらかしたことも思い出深いけれど、それよりも高校生のとき、同級生たちと一緒に大人数で観にきたことの方が印象に残っている。なんと立ち見だったのだ。しかも大変つまらないケヴィン・コスナー主演作『ワイアット・アープ』(94年)だったのだ。上映終了後は疲労と退屈により皆無言。昼食だけ食べて、解散となった。

 グランド6(多分。あ、でもグランド5かも)。名駅地下にあった中規模劇場。ここでは「観られなかった映画」を覚えている。その映画とは二本立て上映だったクリスチャン・スレーター、マリサ・トメイ主演の『忘れられない人』(93年)とジョニー・デップ、メアリー・スチュアート・マスターソン主演の『妹の恋人』(93年)。ちょっとしたデートムービーブームが巻き起こっているときに封切られた二本。あの頃から映画は一人で観ることにしていたのだけど、どこからどう見てもラヴストーリーなこの2タイトルを一人で観るのは抵抗があったのだった。一緒に観る相手など、もちろんいない。映画館の前まで行きながら、そして散々悩みながら、結局観られず。ちゃらーん…。

 ピカデリー1。実はグランド1よりも大きな劇場。マット・デイモン、ジュード・ロウ主演の『リプリー』(99年)はここで。なぜそれを覚えているのかというと、ビル一階のチケット販売の女の接客態度があまりにも不愉快だったから。自分で言うのもナンだけれど、滅多に人には怒らない(心の中で怒っていることは多いけど)。でも、このときは怒った。そんでもってそれだけでも我慢ができず、上の人間にまで文句を言った。そしたら女は自分の非を認め…クビになった。ちなみに初めて洋画を大画面で観たのもこの劇場で、『ミクロキッズ』『ターナー&フーチすてきな相棒』(89年)の二本立てだった。『氷の微笑』(92年)をドキドキしながら観たのも覚えている。

 ピカデリー4。小さな映画館だったけれど、ここではイアン・マッケラン主演の名作『ゴッド・アンド・モンスター』(98年)を上映してくれたことが忘れられない。公開に向けて始まった運動、もう10年以上前のことになるのか…。

 毎日ホール。新聞の上映時間案内ではグランドよりも先に紹介されていたせいか、意味なく「出席番号1」のイメージ。『メリーに首ったけ』(98年)はここで観た。『メリー』と言ったら、ベン・スティラーのアレがチャックに挟まれちゃう場面、キャメロン・ディアスの前髪が立っちゃう場面、スティラーが犬と格闘する場面…等爆笑場面がてんこ盛り。劇場があんなに大笑いになったことはなかった。そして…思い出し笑いが得意な自分は、上映の間中、別に笑うところじゃなくても思い出して笑いそうになりそれを堪える…の繰り返し。ある意味、無茶苦茶体力を使う鑑賞だった。

 名鉄東宝。名古屋名物ナナちゃん人形のある通りの巨大劇場。初めて行ったのはクリストファー・ランバートとダイアン・レインがまだ夫婦だった頃に共演した『美しき獲物』(92年)。アレだけ広いのに客が2、3人しか入っていなかったことに驚いた。それから間違いなくトム・クルーズの代表作である『ザ・エージェント』(96年)はここで観た。それも2回観た。公開直後にさっさと観たのだけれど、後日友人とダブルデートすることになってしまい、もう観たから別の映画にしてと頼んだのに、叶わず再び観ることに。まあ、最高に面白かったのでいいかという気分で…。ところが、観終わった後、女のひとりが映画について延々文句を言い始めて…気分が台無しに。まったくもう…。

 名宝スカラ座。伏見にあった大型劇場。ペネロープ・アン・ミラーがスターを目指して失敗した『レリック』(97年)を、普段映画なんて観ない友人たちと観ることになり、団体で鑑賞。全然面白くなかったけれど、友人たちは楽しんだようだ。面白くなかったことは…もちろん友人たちには言わなかった。大人だわー。違うか。

 名宝シネマ。スカラ座の下にある小劇場。ウィレム・デフォー、ミッキー・ロークの『ホワイト・サンズ』(92年)を観た印象がやたら強い。映画の内容はほとんど覚えていないのに。あんまり行くことがなかったからかな。

 シネプラザ1。伏見と栄の間、鶴舞公園近くの劇場。高一のとき社会の先生が映画好きで、「映画館で一本映画を観ること」を冬休みの宿題にした。それを理由に観に行ったのがメリル・ストリープとゴールディ・ホーンが激突する『永遠に美しく…』(92年)とセントバーナードが愛らしかった『ベートーベン』(92年)の二本立て。今考えるとヘンな組み合わせ…。『タイタニック』(97年)に興奮し(そう、公開直後は面白く感じたのだ!)、長くて退屈、拷問のようだったケネス・ブラナー監督の長時間映画『ハムレット』(96年)を観たのもここ。

 シネプラザ50。たくさんの映画館が入っているシネプラザの中で、最もアート色の強い小劇場。ここで映画を観ると、ちょっと大人の気分になったもの。『愛を弾く女』(92年)のエマニュエル・ベアールの演技にうっとりしたことが最も心に残っている。

 国際シネマ。今池にあった中劇場。有線放送が流れ、ロビーには隣のパチンコ屋の音が漏れてくる。今考えるとトンデモねー。ここは何と言っても、整形前のララ・フリン・ボイルがまだ爽やかさを残していたマシュー・モディンと共演した『堕ちた恋人たちへ』(92年)が忘れられない。レイトショーで、客、自分だけ!後にも先にも一人だけというのはこのときだけ。夜分、怪しいムードもある作品なので、ちょっとだけ怖かった…。

 ゴールド/シルバー劇場。名古屋駅近くの老舗が遂に閉館。ここはもう、ニール・ジョーダンの傑作『クライング・ゲーム』(92年)!映画の面白さと映画館のムードがぴったり合っていた。やっぱりポイントはジェイ・デヴィッドソンでしょう。今、どうしてるんだろう。例の場面でモザイクがかかったことを、今なお、怒っている。おかげで「真実」が分からなかった人がいたというのは、本当???



 …とまあ、ホントにたくさん閉館してしまったんだなぁ。今学生の方なんかは、初めて観に行った映画館がシネコンになるのかなぁ。大人になったとき思い出の映画館としてシネコンを挙げるのかなぁ。なんだかちょっとだけ寂しい気分になるのだった。





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