声をかくす人

声をかくす人 “The Conspirator”

監督:ロバート・レッドフォード

出演:ジェームズ・マカヴォイ、ロビン・ライト、ケヴィン・クライン、
   エヴァン・レイチェル・ウッド、ダニー・ヒューストン、
   ジャスティン・ロング、アレクシス・ブレデル、ジョニー・シモンズ、
   コルム・ミーニー、トム・ウィルキンソン、ジェームズ・バッジ・デイル、
   トビー・ケベル、ジョナサン・グロフ、スティーヴン・ルート、
   ジョン・カラム、ノーマン・リーダス

評価:★★




 第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンが南軍の残党に暗殺されるところから始まる。リンカーンが銃弾を受け、残党が方々に散っていくまでの流れが、滑らかになされない。アクションの足元がぐらついている。尤も、アクションらしいアクションはこれぐらいで、その後は裁判劇の方向に傾いていく。ロバート・レッドフォード監督の興味は暗殺事件の真相を解き明かすところにはない。

 『声をかくす人』でレッドフォードが目を向けるのは司法だ。暗殺事件の逮捕者の中には女がいた。名をメアリー・サラットと言う。彼女は民間人でありながら軍法会議にかけられ、そして遂には処刑される。なぜ彼女は処刑されなければならなかったのか。レッドフォードはどうやら、相当にこの史実に怒っているようで、その問題を執拗に追いかける。正義とは何か、問い掛けながら。

 レッドフォードは「不条理」のカードを切る。政府の息がかかった検察側は、素人でも呆れるぐらいにあくどい手法を用いて、堂々サラスを追い詰める。それもまた犯罪だろう不敵さを忘れない。その強調が行き過ぎて漫画になってしまったのは、皮肉としか言いようがない。観る側のほぼ100%が検察を悪役としか見なせないだろう。小さな反権力をぶつける一本芸だけでは「不条理」は揺るがない。

 レッドフォードはクソマジメなのか、決してメロドラマには流されない。サラスへの同情心を、余計には刺激しない。しかしその結果、彼女が寝ぼけた輪郭の人物になってしまった感は否めない。無実を主張はするものの、だからと言って真犯人である息子を過剰にかばうことはせず、娘の今を心配し過ぎることもない。積極的に自己弁護しない上に、守りたいものがはっきり示されない。これでは単に愚かな女ではないか。ロビン・ライトの清潔感もプラスにはならない。

 いっそのこと、ホント、メロドラマ的に作ったら退屈さからは逃れられたかもしれない。息子を助けたいがために、自らが犠牲になろうとする女の悲劇の物語として描く。安っぽくてありきたりでも、それでも怒りのあまり冷静さを失い、周囲を悪者で固めることにより、その聖人性を浮上させるという恥ずかしさよりはマシだ。

 実は演技は充実している。サラスを弁護するジェームズ・マカヴォイも悪くないものの(彼が主人公になる)、サポートを務めるヴェテランが魅せる。腐った正義に自信を見せるケヴィン・クライン、その忠実な部下ダニー・ヒューストン、偏見に満ちた裁判官コルム・ミーニー、マカヴォイにさり気なく助言するトム・ウィルキンソン。彼らが上手いだけに余計に腹立たしくなるのは、コマリモノだけれど…。





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