憧れのウェディング・ベル

憧れのウェディング・ベル “The Five-Year Engagement”

監督:ニコラス・ストーラー

出演:ジェイソン・シーゲル、エミリー・ブラント、リス・エヴァンス、
   クリス・プラット、アリソン・ブリー、ローレン・ウィードマン、
   ミミ・ケネディ、デヴィッド・ペイマー、ジャッキー・ウィーヴァー

評価:★★★




 プロポーズ場面から始まる。領収書。レストラン。iPod。花火。友人のサポート。ルビーの指輪。鍵を握るアイテムはたっぷり。男から女へサプライズプランとして決行されるのだ。ところが、これが上手くキマらない。格好つけようとすると、邪魔が入ったり、あらぬ方向に向かったり…。しかし、この「ハズシ」こそが重要だ。

 だって『憧れのウェディング・ベル』の物語は、特別目新しいものではない。婚約したはいいけれど、思いがけない人生の出来事に振り回され、なかなか結婚に辿り着けない。女がミシガン大学での仕事が決まってサンフランシスコから大移動。2年間限定の約束だったのにしかし、事は予定通りには運ばない。現実社会でも普通にあるだろう物語を映画にするのだ。ストレートな部分よりもハズシのそれこそが命となるのは当然だ。

 とは言え、主人公を演じるジェイソン・シーゲルとエミリー・ブラントは、ストレートにナイスカップルだ。ハンサムでもスマートでもないものの、クマのぬいぐるみのような穏やかさを感じさせるシーゲル。きりりとした美しい目鼻立ちと、それが優しく崩れるときのギャップが可愛らしいブラント。シーゲルがブラントを外側から包み込む。ブラントがシーゲルを内側から温める。普段の生活の、何気ないやりとりに価値を見出すことのできるふたりだ。

 ふたりの結婚前の道のりは、原題にあるように五年間にも及ぶ。長くなった理由はそれこそがドラマであるから、そしてこれがジャド・アパトウ製作・ニコラス・ストーラー監督の映画だからだ。アパトウもストーラーも軸となる物語だけでなく、ついつい大抵の映画ならカットされる脇のエピソードに首を突っ込む性質の持ち主。今回もテンポ良く話を語ることには消極的。脇筋に興味津々で、気がつけば上映時間は120分を超えている。

 確かに長い。冗長だ。だけどしかし、そうして積み重ねられた脇筋から浮上するものにも大切なものが見え隠れしているから侮れない。例えば脇役がとても印象的に描かれる。中でもシーゲルのユージンを演じるクリス・プラットが良い味だ。ぼんくら風だし発言はバカだし空気を察することはできないし…でも時々ポロッと核心を突いた良いことを助言する。彼が自分の結婚式で歌う場面がイイ。丸っきりバカな顔なのに、心がこもっていて。

 やはりポイントは脚本にある。軸の物語を丁寧に語りながら、積極的に脇道に逸れながら、結婚にまつわる様々な問題を明確にしていく。理想の式。仕事の価値。男と女の格差。譲るべきところと譲れないところ。お互い別の相手によろめく件はありきたりであるものの、それもふんだんに盛り込まれるブラックジョークのおかげで気になるほどではない。結婚式が延びる度にお年寄りが死んでいったり、ドーナツを使った実験が人生の一面を表していたり、遊びながら鋭いところを突いている。

 結末はもちろん結婚式になる。出会った頃からの時間を、良いときも悪いときも含めて感じられる演出。出会いがどんな風だったか、遂に明かされるのが巧い。色々な人に支えられて今があるということもしっかり伝わる。そう、最後に切られるカードはハートだ。ロマンティック・コメディはこうでなくては。





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まとめ【憧れのウェディング・】

憧れのウェディング・ベル “The Five-Year Engagement”監督:ニコラス・ストーラー出演:ジェイソン・
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