マーガレット

マーガレット “Margaret”

監督:ケネス・ロナーガン

出演:アンナ・パキン、J・スミス=キャメロン、マーク・ラファロ、
   ジーニー・バーリン、ジャン・レノ、ローズマリー・デウィット、
   アリソン・ジャニー、サラ・スティール、ジョン・ギャラガー・ジュニア、
   マット・デイモン、マシュー・ブロデリック、キーラン・カルキン
   オリヴィア・サールビー、ジョシュ・ハミルトン、マイケル・イーリー

評価:★★★




 冒頭、主人公を演じるアンナ・パキンがむっちむちのミニスカートとブーツで不敵な態度をキメているので、青春の反抗でも描く話かと勘違いしそうになるけれど、そんな呑気な突っ込みは瞬く間にできなくなる。ある日、女子高生は交通死亡事故を目撃。いや、目撃しただけでなく、事件そのものに深い関わりを持たざるを得なくなる。

 この少女の状況が複雑だ。少女がバスの運転手のテンガロンハットに興味を持ち、運転中の彼に話しかけたことをきっかけに脇見運転を誘発。赤信号を確認しなかったことで事故が起こるのだ。つまり彼女は直接的な加害者ではないものの、その原因の発生源となる。当然少女は罪悪感を感じる。人が死んでしまった。被害者に申し訳ない。けれど、加害者の人生も守る必要があるのではないか。しかし、自分も守ねばならない。結果、彼女は極めて苦しい心理状態のまま、宙ぶらりんに置かれる。被害者が死んでいくところをいちばん近くで見守ったり、加害者が自分の非の一切を認めなかったり、事態はいよいよ混迷を極める。

 少女の日常の態度は攻撃的になる。性への向き合いが乱暴になる。教師を誘惑もする。それはほとんど不快と言って良いものだ。少女は結局、警察に本当のことを打ち明け、加害者を罰しようとする立場となる。自分の罪を棚に上げて行う行為なのか。自分が楽になりたいだけではないのか。だからと言って他人への攻撃を正当化しているのではないか。様々な負のスパイラルが彼女を雁字搦めにしていく。不快でも、同時に興味深い。

 パキンが少女の苦悩と苛立ちを生々しく演じる。人間なら誰しも持っているだろう負の側面を惜しげもなく曝け出している印象だ。人間的であるような、ロボット的であるような、不思議な立ち位置で物語を引っ張っていく。感情を爆発させる場面には凄味が漂っている。でも、脆く消えてしまいそうでもある。

 こうした少女の言動を眺めていると、次第に彼女はアメリカの象徴のように見えてくるのが面白い。アメリカが置かれている立場は難しい。世界一の大国であり、それゆえ手にした軍事力は正義という名の下に行使され、しかしそれを快く思わない者もいる。宗教や9.11を取り上げた討論場面が出てくる。偶然ではないだろう。

 尤も、物語は最終的に個人の物語へと還っていく。事件の結末よりも痛切に浮かび上がるのは、孤独と呼ばれるものだ。人間は誰しも一人であり、それを認めた上で生きていかなければならない。個人は個人に手を差し伸べられる。傷つけることもできる。それでも結局、自分を奮い立たせられるのは自分しかいない。

 ケネス・ロナーガンはそれを表現するため、ワンシーンを長めに撮っている。脇の人物のエピソードも繰り返し挿入される。何の変化もない風景をじっくり見つめもする。生の息遣いを定着させるのに必要ということだろう。確かに冗長に感じられる部分はあるものの、気持ちは理解できる。





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