リンカーン 秘密の書

リンカーン 秘密の書 “Abraham Lincoln: Vampire Hunter”

監督:ティムール・ベクマンベトフ

出演:ベンジャミン・ウォーカー、ドミニク・クーパー、アンソニー・マッキー、
   メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ルーファス・シーウェル、
   マートン・ソーカス、ジミ・シンプソン、ジョセフ・マウル、
   ロビン・マクリーヴィー、エリン・ワッソン

評価:★★




 第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンはヴァンパイアハンターだった…という奇想はどこから出てきたのだろう。ひょっとすると都市伝説のようなものでも存在するのだろうか。ともかく『リンカーン 秘密の書』ではリンカーンがヴァンパイアハンターになる過程、そしてヴァンパイアの大ボスを倒すまでが描かれていく。それも史実に即しながら。

 断わるまでもなく、見所はリンカーンのアクションヒーロー化にある。ヴァンパイアに母を殺され復讐に燃えるリンカーンが、同じヴァンパイアハンターである謎の男と出会い、訓練を受ける。リンカーンは彼からの指令を受けて、一人また一人とヴァンパイアをやっつける。ターゲットがヴァンパイアでなければ暗殺者に見えることだろう。リンカーンが見せるアクションはさほど面白くない。ターゲットがヴァンパイアの正体を表す際に使われる視覚効果の方が目立っている。

 その上、演じるベンジャミン・ウォーカーに魅力がない。ガタイが良いからというわけでもないけれど、「リーアム・ニーソン30年前五割引き」みたいな印象。華らしい華がなく、ドミニク・クーパーやアンソニー・マッキーといった脇の性格俳優たちに次々喰われていくのが、いっそ痛快だ。話が後半に入ると、あのお馴染みのリンカーンの顔にメイクされる。これがまた、実に不自然な仕上がり。マネキンでも眺めている気分になる。

 作り手が最も懸命になっているのは、リンカーンの人生をヴァンパイアとの戦いと密着させることだ。優秀な斧使いだったこと。幼少期の母の死。イリノイでの友人との出会い。息子の死。悪妻と言われた妻。奴隷制度の廃止。南北戦争時代の銀の扱い。ゲティスバーグの演説。実はその裏にはヴァンパイアの存在があったことが、細やかに…というより強引に描写される。序盤に意味深に出てくる「本当の力は憎しみではなく、真実から生まれる」というセリフは、見事に無視される。つまり、ヴァンパイアとリンカーンを結びつけることに熱心になるあまり、アクションの味は極めて薄い。

 ただし、例外はある。監督のティムール・ベクマンベトフはロシアの映像主義的作家で、どうやら走る乗り物の上で繰り広げられるアクションが好きらしい。ここでは馬の群れの中での格闘、大量の銀を積んだ列車内での最終決戦が用意され、この場面になると急にテンションが上がる。

 特に後者は気合いが入っている。ハイスピードで横移動する列車。狭い空間。屋根の上の攻防。クイックモーションとスローモーション。燃える橋桁。限定された場所でありながら、縦にも横にも柔軟な動きを見せる。特に列車が燃え盛る橋桁に差し掛かってからは、作り手の興奮が伝わるような撮り方。そう言えばベクマンベトフ、「ウォンテッド」(08年)でも列車を使った一大スペクタルを盛り込んでいたのだった。





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