最終目的地

最終目的地 “The City of Your Final Destination”

監督:ジェームズ・アイヴォリー

出演:シャルロット・ゲンズブール、オマー・メトワリー、ローラ・リニー、
   アンソニー・ホプキンス、アレクサンドラ・マリア・ララ、
   真田広之、ノルマ・アレアンドロ

評価:★★




 まず、舞台がウルグアイというのが目新しい。南米特有の湿気と乾燥。舞い上がる埃や土の匂い。鬱蒼と生い茂る緑。蜂蜜作り。常に聞こえる虫の音や鳥のさえずり。ジェームズ・アイヴォリー映画だから撮影に品があり、頬を撫でる風が優しく切り取られている。ウルグアイが舞台ながら、メインの役者に現地人が見当たらないのが可笑しい。アメリカ、英国、フランス、ドイツ、日本…。イラン系まで出てくるというのに。

 ひょっとして奇怪な人間関係と無関係ではないのかもしれない。辺境の地にある邸宅が舞台。そこには自殺した作家の妻、作家の愛人とその幼い娘、作家の兄とその同性の恋人が暮らしている。咄嗟にどろどろの地獄絵を思い浮かべるものの、彼らは息を潜め、危ういバランスを崩さず、ただ静かに生きている。この状況を画的に突破するには、配役の段階でこれぐらいのユーモアと不敵さも必要だったのではないか。

 『最終目的地』に出てくる人々は、、ほとんど地縛霊のようなものだ。彼らの周りでは時間というものが動いていない。前に進むこともできるはずなのに、過去と遺産が彼らを動けなくしている。笑みを浮かべていても、人生に窒息しそうだ。彼らを解き放つことこそアイヴォリーの役目だ。けれど、その試みは滑らかになされない。イメージが全く変わらないのだ。

 攻撃的で武装を解除する術を失った妻。行き場がなく惰性で留まる愛人。未来が見え過ぎて絶望を感じる兄。彼らの目の前に現れる伝記作家の青年も含めて、彼らは皆、最初のイメージを頑固に守る。己を維持しながら、退屈な掛け合いを繰り返すのみだ。

 物語をダイナミックに展開させる鍵は用意されている。作家が遺した幻の原稿。一族の先祖から受け継いだ宝石。頑なに「公認」伝記を拒否する理由。アイヴォリーはそれらに、「設定」以上の興味を示さない。代わりにメロドラマという名の陳腐さに固執する。

 終幕の唐突さには驚く。「襲い掛かる蜂」「青年の恋人の来訪」を次々放り込み、微動だにしない人間関係を強引に動かそうとする。そして実際、謎を謎のままにした状態で、それは突然に融解を始める。登場人物はそれぞれにすっきりした表情を見せるものの、それは自己満足と呼ばれるものでしかない。

 それにしても…真田広之がアンソニー・ホプキンスの恋人役とは…。一緒にベッドに横たわるシーンで素っ裸だったのに驚く。このときホプキンスが服を着ていたのは有難い。いや、性的嗜好は自由で構わないのだけれど、ふたりの肉体関係をこれ以上深く見せられていたら、おそらく別の映画になっていたことだろう。キスだけでもやけに落ち着かない気分になるのだから。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ