推理作家ポー 最期の5日間

推理作家ポー 最期の5日間 “The Raven”

監督:ジェームズ・マクティーグ

出演:ジョン・キューザック、ルーク・エヴァンス、アリス・イヴ、
   ブレンダン・グリーソン、ケヴィン・マクナリー、ジミー・ユール、
   オリヴァー・ジャクソン=コーエン、パム・ファリス、
   エイドリアン・ローリンズ、サム・ヘイゼルダイン

評価:★★




 企画が実現したのはおそらく、「シャーロック・ホームズ」(09年)の興行的成功が大きいのだろう。推理要素の強いコスチュームプレイの世界へ風変わりな角度から斬り込むことで、古臭さを吹き飛ばす快感を感じ取ったのではないか。ただし、「シャーロック・ホームズ」のようにアクション・コメディの方向に舵は切られない。『推理作家ポー 最後の5日間』は猟奇的な森へとひたすらに突き進む。ひょっとすると最も印象が近い映画は「ソウ」(04年)かもしれない。

 何しろ演出で最も力が入れられているのは、哀れな姿となった被害者の死体だ。尋常ではないことが一目で理解できる死体のコレクション的な匂いが濃厚に漂う。首が掻っ切られていたり、身体が真っ二つになったり、壁の中に埋められていたり…。残酷な殺戮場面も用意されていて、ほとんど正視し難い行為を舐めるように撮り上げている。問題はここに作り手の死体への偏愛を含んだ変態性が感じられないことだ。単純に残酷さを楽しんでいるようにしか見えない。それこそ「ソウ」のように。

 主人公はあのエドガー・アラン・ポーだ。19世紀のボルチモア、犯人は彼の発表した作品を模倣した殺人事件を次々起こしていく。ポーへの執拗なこだわりはしかし、それが粘り気のある妖気となって画面に定着することがない。ゲームに興じている以外の匂いが漂わない。残酷さが全てで、それ以上でもそれ以下でもない世界。「ポーが永遠の愛を誓う場所が死の匂いに包まれているだなんて、ロマンティックじゃないの」というセリフが活かされない世界。

 ポーの作品を模倣した犯罪ということで、彼の著作のタイトルが次々出てくる。「モルグ街の殺人」「アッシャー家の崩壊」「マリー・ロジェの謎」「落とし穴と振り子」…等。完全にポーのファンにしかアピールしない見せ方なのはどうなのか。いや、タイトルを出して満足していると言い換えた方が正確だろうか。ポーの作品を読んでいることを前提にして、殺害法を借りて満足しているに過ぎない。被害者の選び方が適当なのも、犯人の動機が愚かしいのも、全てこの姿勢に通じている。

 捜査方法も味気ない。専門的知識をひけらかし、勝手に納得して進められていくばかりだ。映画に限らず、三流推理物にありがちな罠にあっさりハマる。アクションは霧や闇などに寄り掛かり、それを得意気に見せるのみ。真犯人の正体も特に驚くようなものではなく、事件の周りでうろうろしていた者を強引に仕立て上げただけ。ポーの最期も全く納得できない。

 ポーを演じるジョン・キューザックの現代的な個性がコスチュームプレイの世界にハマらないのも辛いところ。卵顔に無理矢理髭を生やして、やたら怒鳴っているだけという、単調な人物像しか浮かび上がらない。ヒロインのアリス・イヴはニコール・キッドマン廉価版のような趣。整っているようでどこか歪んだ顔はSF向きであっても時代物向きではないだろう。ふたりだけの場面になると、何の時代の映画か分からなくなる。ジョン・ワトソン的役柄を演じるルーク・エヴァンスが物語に溶け込んでいるのと対照的と言える。





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