ハッピーサンキューモアプリーズ

ハッピーサンキューモアプリーズ “Happythankyoumoreplease”

監督・出演:ジョシュ・ラドナー

出演:マリン・アッカーマン、ケイト・マーラ、パブロ・シュライバー、
   ゾーイ・カザン、トニー・ヘイル、ピーター・スカンナヴィノ、
   マイケル・アルジエリ、ブラム・バルー、リチャード・ジェンキンス

評価:★★




 監督・脚本・主演の三役を務めるジョシュ・ラドナーは、クライヴ・オーウェンからアクの強さを抜いて、ベン・アフレックのぼんくら風味を注いだような印象の人だ。相手役のケイト・マーラから「今まで会った中でいちばんダメな男よ」と言われてしまうのが可笑しい。悪人には見えないものの、冴えた頭の持ち主にも見えない。「良い人なんだけど…」で終わるタイプ。

 小説家志望のラドナーがひょんなことから黒人少年と知り合い共同生活を送ることになって…という話が軸にある。「アバウト・ア・ボーイ」(02年)の例を挙げるまでもなく、大人になれない男と子どもの組み合わせはありふれたものだ。ただ、ラドナーとマイケル・アルジエリ少年のコンビネーションは悪くない。ふたりが並んで座るショットが何度も挿入される。その度に思うのは、どちらが大人なんだ…ということ。わざとボールを遠くに放り投げなり、少年をだしに女性に近づいたり、そのくせ手を出した後は怖気づいたり…少年との掛け合いの中で、ラドナーのダメさ加減が浮上する。

 ラドナーのこうした幼い振る舞いの数々が、それでも不愉快に映らないのは、舞台がニューヨークであることが大きいだろう。別に観光名所でもないニューヨークの街角が、そこに住む人々を優しく包み込む。穏やかな光。優しい照明。流れるような微風。表情豊かな木々。辛いことがあっても、厳しい現実に打ちのめされても、街の包容力に救われる。大人になれない男が「バカな子ほど可愛い」に通じる空気をまとい始める。

 ニューヨークに助けられるのはラドナーだけではない。恋に臆病になっている無毛症の女と彼女に一途に迫る冴えない風貌の男。仕事が原因で愛する人と別れを覚悟するカップル。実はアンサンブル要素が強い作りになっている。三組の男女の日常が切り取られるものの、それぞれのエピソードは個性が希薄だ。別にニューヨークに助けてもらうまでもないだろうと言いたくなる程度の悩みと葛藤。その分をラドナーの話に集中した方が良かったのではないか。

 …と言うのもラドナーの話は、まだまだ掘り下げられる余地がたっぷりある。中でも里親をたらい回しにされている少年との関係は踏み込み不足。別に少年が出てこなくても成立する話になっている。少年の絵の才能やたらい回しの原因も表面を撫でるだけでは物足りない。ラドナー自身も小説家志望という点が話にまるで絡まなくて拍子抜けする。

 物語は誰でも至福を得る権利があると語り掛ける。そしてそれが、タイトルにもなっている『ハッピーサンキューモアプリーズ』という言葉に繋がっていく。結末では確かにそれぞれが、幸せを感じている。嫌味はないものの、ニューヨークに甘えた気配が感じられなくもない。





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