ジャックはしゃべれま1,000

ジャックはしゃべれま1,000 “A Thousand Words”

監督:ブライアン・ロビンス

出演:エディ・マーフィ、ケリー・ワシントン、クリフ・カーティス、
   アリソン・ジャニー、クラーク・デューク、エマニュル・ラグスデイル

評価:★




 『ジャックはしゃべれま1,000』は、誰の目から見てもオー・ヘンリーの「最後の一葉」をモチーフにしている。突然主人公と一本の木が一体化する。木に生い茂る1,000枚の葉が、男がワンワードを口にする毎に落ちていく。最後の一枚が落下したとき、それは男の死を意味する。主人公は口から先に生まれてきたような男だ。果たして彼は喋ることをやめて、生き延びられるだろうか。なるほどコメディにし易いシチュエーションだ。

 斯くして男は言葉を封印。葉の落下を食い止めようと必死になる。そのため言動は、傍から見ればあんぽんたんなものとなる。風邪を引いたわけでもないのに喋ることを拒否。おかしな振る舞いを繰り返して周囲を呆れさせる。家族は離れ、仕事は窮地に陥る。気の毒だけど、バカバカしくて笑えるだろう。そういう作り手の読みは見事に外れる。主人公をエディ・マーフィが演じてしまったからだ。

 マーフィの武器は言うまでもなく、マシンガントークにある。人に喋る隙を与えることなくガンガン畳み掛けられる言葉。そこから滲み出る可笑しさこそが、マーフィという役者の存在意義だ。そのマーフィから言葉を奪う。それはジェット・リーからマーシャルアーツを、ジュリア・ロバーツから笑顔を奪うことと同義だ。

 マーフィにマシンガントーク以外の芸があればまだ良かった。軽やかな身のこなしはアクションの要求されないこの題材では意味をなさない。マーフィはマシンガントークを封印し、代わりに幼稚なジェスチャーゲームに興じるしか道はない。バカな表情を作るパターンもあるものの、そのヴァリエーションは驚くほど少ない。

 作り手も頭を抱えたのだろうか。一本調子を打開しようと試みた気配はある。木を触るとマーフィがこそばゆくなる。木に水をやればマーフィが汗塗れになる。木を消毒すればマーフィがトリップ状態になる。書いているだけで恥ずかしくなる打開策の数々は、もちろん笑いとの相性は悲劇的だ。

 投入された映画術がことごとく素人風なのはどうしてだろう。オチのないままに切り上げられるエピソード。尻切れトンボで進められるストーリー。前後が繋がっていない編集。葉があと何枚残っているのかを全然知らせなかったり、突然シリアスドラマに転じたりと意図の分からない演出がごろごろしている。もしかしたら最初の出来上がりはもっとどうしようもなくて、それを刈り込んだ結果がこれなのだろうか。

 俺ならばどうするだろうと考えたとき、大抵の人は「最も信頼する人に状況を説明する」だろう。そして、救済策が判明するまでできる限り他人との接触を避けるだろう。こんな初歩的なところに頭が回らない主人公。それでは映画にならないと開き直っている場合ではない。出来上がりが頓珍漢になっても仕方がない。





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