俺たち喧嘩スケーター

俺たち喧嘩スケーター “Goon”

監督:マイケル・ドース

出演:ショーン・ウィリアム・スコット、ジェイ・バルチェル、
   アリソン・ピル、リーヴ・シュライバー、ユージーン・レヴィ、
   マーク=アンドレ・グロンディン、キム・コーツ

評価:★★★★




 氷上の格闘技とはよく言ったもの。アイスホッケーは極めて危険なスポーツだ。暴力的と言っても問題ないかもしれない。分厚い防具。凶器になり得るスティック。弾丸のように飛んでくるパック。選手たちは身体と身体をぶつけ合っているんだか殴り合っているんだか。スティックが剣となり、ヘルメットがぶっ飛び、額が割れ、そしてゴール!爽やかなスポーツ映画の匂いはない。それどころかアクション映画のような趣すら漂う。

 『俺たち喧嘩スケーター』がユニークなのは、その中でも乱闘要員の選手を主人公に置いたところだ。敵を潰して仲間を守る乱闘要員は、立派な選手だ。どんなスポーツでもスーパーサブと呼ばれる選手がいるものだけれど、アイスホッケーで言えば乱闘要員こそがそれかもしれない。身体を張ることが仕事で、そのためには血が流れても歯が折れてもお構いなし。あぁ、やっぱり格闘技だ。

 乱闘要員である主人公はしかし、実は穏やかな性格をしているというのが面白い。喧嘩の強さを買われてのスカウトであったものの、彼はそれが嬉しかった。何も目的がなかった人生に光が射すことに喜びを感じた。それを忘れずに日々を生きている男だ。何でも素直に受け入れる。周りの空気に温かさが伝わる。思わず「氷上のハルク」ではないかと言いたくなる。

 断わるまでもなく、主人公は壁に衝突する。その突破は全てプレイにより示される。彼が最も彼らしくいられるのは氷の上ということだろう。喧嘩とプレイの違い。チームであることの意義。誇りとは何か。男は自分の未熟さを認められる男で、そして氷の上で自分を表現できる男でもある。ここが男らしく、カッコ良いところだ。

 意外や意外、主人公をショーン・ウィリアム・スコットが愉快に演じ切っている。ボーズ頭や顔面から血を流しながら生を実感する様を、温か味たっぷりに見せる。スコットをバカに走らせなかったのは正解だ。スコットは主人公はバカではなく純粋だという解釈で演技している。…と言っても、話が次のエピソードに移るというとき、何度か小さなボケをカマすところがあった。慎ましくて、かえって可笑しい。

 ロマンス要素も感動的に綴られる。バーで出会った恋人付きの女の子に一目惚れしたスコットの振る舞いは、ほとんど中学生と変わりない。直球の褒め言葉。大量のプレゼント。心からのキス。「絶対かけないから、電話番号だけ教えて」のセリフに笑う。その言動の底には好きな人には笑っていて欲しいという想いが常に見え、ほとんど涙腺を刺激されるほどだ。女は心を動かされる。乱闘要員ならではのある展開があって、女が言う。「あなたが私を一途な女にしたの」。イイハナシダー。

 実在のアイスホッケー選手、ダグ・スミスの自伝を基にした脚本を手掛けたのは、友人役で出演しているジェイ・バルチェルだ。プロデューサーも務めている。実は観ている間、バルチェルが主演した「ある日モテ期がやってきた」(10年)を思い出していたのだ。全く話は異なるものの、どちらもハートという点で共通している。嫌味のないハートを立ち上がせるのは簡単ではない。偶然ではない気がする。





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