パリ20区、僕たちのクラス

パリ20区、僕たちのクラス “Entre les murs”

監督:ローラン・カンテ

出演:フランソワ・ベゴドー

評価:★★




 ある学校の9カ月が描かれる。…と言っても日本のTVドラマのような熱血教師は出てこないし、いかにも分かりやすい不良生徒も見当たらない。しかもストーリーらしいストーリーがなく、教室という限られた空間の中で向き合う教師と生徒たちの表情を切り取ることに専念している。

 『パリ20区、僕たちのクラス』は学校が抱える今そこにある問題を浮かび上がらせたかったのだろう。そのためには余計な装飾は不要で、それどころか意図したものを見え難くしてしまう危険があるとの判断。現代社会を映し出す鏡でもある学校内、教室内を緻密に描き出すことで、そこに浮かび上がるものに賭けている。ドキュメンタリー・テイストを大切にして、あたかもノンフィクション風の趣を与え、現場の直の感触を大切にしているのだ。ローラン・カンテ監督の狙いは正確で、なるほど一見授業風景を映し出しているだけに見えながら、教育システムの課題や人種的な問題、或いはアイデンティティーの確立の難しさ等、様々なテーマが見えてくる。

 意図したところは分かる。分かるけれど、ほとんど面白くなかったのはなぜだろう。いや、面白くないというより興味を惹かれないという方が正しいか。多分関心を持てるような人物が、教師にも生徒にも見当たらなかったのが原因のような気がする。いかにもフランス的ではあるものの、教師が教育熱心なところをやたらアピールしてくるのが白けるし(それでいて教師も人間なんだと高らかに主張)、様々なタイプの生徒が揃えられているように見えて実は「本音」を武器にしているばかりなのはゲンナリする(反抗の仕方が型通り)。

 その上、これがドキュメンタリー風に綴られるのだから、かえって作り物感が強調され、嘘臭く感じられるところも多々ある。おそらく見せ方は一級品。でも、肝心の登場人物の厚みが伝わってこない。したがって、テーマは見えてきても、それだけで終わってしまう。たった一人でも思わず身を乗り出してしまうような面白い人物が出てくれば、感じ方も違ってきたのかもしれないけれど…。

 教師と生徒たちがぶつかり合うことで生まれるものとは何だろう。色々問題は浮上してくるけれど、案外感じ入るものが少ないのは、作り手が教室内に渦巻くものに過大な評価をしているからではないか。一筋縄ではいかない教室の実状。それでも時は流れ、心と身体の成長も止まらない。ただ、そこに何がしかの真実があると確信できるほどに、響くものはなかった。

 それにしても…中学生とはこんなに幼いものだったろうか。自分を主張するばかりで引くことを知らない生徒ばかりでやたら疲れてしまった。





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