エージェント・マロリー

エージェント・マロリー “Haywire”

監督:スティーヴン・ソダーバーグ

出演:ジーナ・カラーノ、マイケル・ファスベンダー、ユアン・マクレガー、
   ビル・パクストン、チャニング・テイタム、マチュー・カソヴィッツ、
   マイケル・アンガラノ、アントニオ・バンデラス、マイケル・ダグラス

評価:★★★




 クエンティン・タランティーノはパム・グリアーに再注目して「ジャッキー・ブラウン」(97年)を撮った。同様にスティーヴン・ソダーバーグがジーナ・カラーノという逸材を発見したからこそ撮られたのが『エージェント・マロリー』だ。ただし、受ける印象はちょいと異なる。グリアーはあくまで登場人物として作品に存在していた。カラーノは作品のために動いている感触を与えない。それとは逆に、カラーノのために作品が存在する。

 ソダーバーグは面白い素材に目をつけたものだ。カラーノはこれより前、ムエタイを始めたのをきっかけに格闘家として活動していたのだという。つまり、ホンマモンのファイターだ。おまけにジーナ・ガーションとレイチェル・ワイズをミックスしたような美人。日本で同じようなことをすると北斗晶だとかジャガー横田だとかを担ぎ出す必要があるのか。そう言えばキューティー鈴木は今何をしているのか。何でもいいか。

 …そんなわけでカラーノの身体が良く動く。生身の身体が動く、ただそれだけで浮上する迫力は、他の何物にも変え難い。パンチやキックの一発一発に重みがある。跳躍や走りのイチイチに凄味がある。閉所や路地裏、邸宅構造等を利用したアイデア勝負の振り付けアクションもカッコ良くキメる。足技にはユーモアさえ漂わせている。ちょっと前に「バイオハザードV:リトリビューション」(12年)のミラ・ジョヴォヴィッチに感心したばかりだけれど、うーん、カラーノに比べたらジョヴォヴィッチはヘッポコだ。

 強いとは言え、カラーノは女だ。彼女が男どもをぶっ倒していくサマが、実に爽快だ。パワーでもスピードでも勝るはずの男たちがバタバタ倒れていく。彼女を弱き者と形容するのは間違いだけれど、たった一人の女がツワモノが揃えれられた組織をなぎ倒す快感がたっぷり。男から見ても頼もしい。こんな女にやられたいと願うかもしれない。

 しかも男たちを演じるのがハリウッドスターというのが気が利いている。いつもは正義の味方となり、悪漢を伸している彼らが、カラーノの前に散っていく画のシュールさよ。相手はホンマモンの格闘家だから、彼らもスキルを全開にできる。全開にしても敵うわけがないのだから。画がますます面白くなるわけだ。

 ソダーバーグとしてはメジャー映画への挑戦のような意味合いを念頭に置いていたかもしれない。無名の女を主役に据えて、視覚効果などほとんど使わないままに、インディーズ映画ならではのアクションを撮る。有難いことにカラーノはスタントを必要としないから、愚かなカット割りやスローモーションに逃げることなく長回しが使えるし、それゆえロングショットやクローズアップにも余裕が出る。画面の色合いや編集ではいつものように遊んでいる。格闘場面になると音楽を拒否するのも嬉しくなる。

 そうして出来上がった作品の外観は歪さが目立つ。お行儀良い展開は見当たらないし、派手な爆発や銃撃戦も皆無だ。全てがスカッと爽快に処理されるわけでもない。しかし、そこが面白い。最近のソダーバーグは趣味に走り過ぎてほとんど自己陶酔の沼に足を突っ込んでいたけれど、ここではカラーノを活かすことに専念したのが吉と出た。歪でも、映画の水が命となって躍動を与えている。





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