モンスター・ホテル

モンスター・ホテル “Hotel Transylvania”

監督:ゲンディ・タルタコフスキー

声の出演:アダム・サンドラー、セレーナ・ゴメス、アンディ・サムバーグ、
   ケヴィン・ジェームズ、フラン・ドレッシャー、シーロー・グリーン、
   デヴィッド・スペード、スティーヴ・ブシェーミ、
   モリー・シャノン、ジョン・ロヴィッツ

評価:★




 どうやら怪奇要素の強い芸術とCGアニメーションは相性が良くないらしい。原色が溢れる世界を得意とするコンピュータの世界では、妖気をたっぷり含んだ空気を流し難い。「おどろおどろしい」という表現が求められる世界だというのに、画面があまりに美しい。キラキラピカピカ輝いている。黒や灰色、紺色といったダークカラーでさえ眩しいくらい。ドラキュラがスーパーマンに見えるときすらある。

 こうした画面の味気なさは『モンスター・ハウス』全体の味気なさに通じている。それは作り手がルールを無視していることと無縁ではない。モンスターがうじゃうじゃ出てくる世界観の中で、どうしても守らなければならなかった点。それは不気味なムードを盛り上げることだ。思わずゾッとする、思わず震え上がる、思わず悲鳴を上げる恐怖と密接に結びついた空間作り。ところが作り手は、ドラキュラ、オオカミ人間、フランケンシュタインの怪物、透明人間らモンスターを総登場させて満足してしまったらしい。

 完全にファミリー映画仕様。もっと言うなら、オコサマ仕様なのだ。ミミズケーキは出てきても喰らう場面は出てこない。ゾンビが出てきても人間に襲い掛かるシーンは見当たらない。モンスター専用のホテルが建てられても彼らに見合った建築の工夫は皆無だ。いや、子どもがメインのターゲットだから表現が優しくなるのは仕方ない。ただ、守らなければならない境界はある。

 ドラキュラは人間の首に噛み付き血を吸わなければならない。オオカミ人間は満月を見て吠えながら変身しなければならない。フランケンシュタインの怪物は雷に打たれて暴れなければならない。透明人間は力を利用して入浴シーンを覗かなければならな…くても良いのか。とにかく、これでは「怪物くん」と何が違うのか、分からない。

 斯くして物語は過保護なドラキュラの父親が、人間と娘の恋路を邪魔するという、実に野暮なものとなる。「娘に恋はまだ早い」と目を血走らせて身体を張るドラキュラを見たい人はいるのか?いや、子どもだと余計に興味がないのではないか?じゃあ、誰がターゲットなんだ?ドラキュラだって人間と変わらないフツーの悩みを抱えてるって?この、頓珍漢!

 ひとりしか出てこない人間のキャラクターがやたら軽い青年というのもどうか。時代を反映させたつもりなのだろうけれど、ますます気分は台無しだ。いや、レトロなモンスターと現代的な人間の対比を狙っていることは分かる。分かるけど、あぁ、頭が痛い。

 唯一キマッたギャグは、ドラキュラが「トワイライト 初恋」(08年)を見て嘆く場面だ。どうせならパロディシーンをたっぷり取り入れて怪作を狙えば良かったのに…。





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